「オーディオ・ホームシアター展開催にあたって」
今年も秋葉原において4回目となる「オーディオ・ホームシアター展」を、開催する運びとなりました。ご出展社、及びご関係の皆様に心より感謝を申し上げます。昨年は国難とも云える「東日本大震災」が起き開催が危ぶまれましたが、多くのご支援の下に開催することができました。また、被災地の子供たちに音楽を届けようという思いで、学校へ機器の提供をさせて頂きました。ご関係の皆様に重ねまして心から御礼を申し上げます。
さて、今年の開催にあたって基本的な考え方を述べさせていただきます。
第一は、今こそ感性価値を磨き上げる必要があることです。震災勃発により、本来人間が持っていた"思いやり"や"きずな"の重要性に気づかされました。しかし、震災勃発等という不幸で気づくのではなく日常的に磨かれていなくては先進国とは言えません。
一方、発展途上国の人々の方が心優しいと思えるのは何故でしょうか。感性価値や音楽という心の中心にあるべきものを私たちは疎かにしてきたのではないかと思わざるを得ません。この展示会を単に機器展示の場だけでなく、良い音楽・良い音オーディオが心に与える重要性を、多くのお客様に伝えてほしいと思っています。
第二は、今年はCDが世に出て30周年、また、日本オーディオ協会創立60周年という記念すべき節目の年でもあります。先々代会長の中島平太郎氏を中心に光デジタルディスクという、とてつもない技術を世に送り出し、30年という長きに亘って未だ第一線メディアにあることは驚愕すべくことです。この展示会でCD30年が果たした役割とその原点及び技術の進化を振り返り、次世代オーディオへの考察を深める必要があります。今日、配信オーディオやPCオーディオあるいは、ネットワークオーディオと、かまびすしい状況ですが、今一度CDの原点を振り返る事こそが明日のオーディオを語ることができると考えます。
さらには我国の民生用電子機器業界を牽引したのは、まさにオーディオでした。諸先輩の偉業に対して心から敬意を表するとともに、その一端を振り返りたいと考えております。
会場には、お子様からマニアまで、オーディオ60年の一端を見て頂けるような特設ミュージアムを展開する予定です。
第三は、これらを有機的に結合させるべく、秋葉原地区での地産地消を展開します。
国内産業の空洞化が叫ばれていますが、まだまだ我々は国内でやるべきことが多くあると考えています。業界を代表しまして、是非とも皆様の絶大なるご支援をお願いするところであります。
2012年7月31日(火)
一般社団法人 日本オーディオ協会 会長 校條 亮治