SONY NW-ZX2 体験レポート
普段デの介は、スマートフォン“Xperia Z3”にハイレゾ音源やら気にいった音楽を入れて、外出先で音楽を嗜んでいる。いつも使用しているイヤホンは、Dynamic Motion製の“DM008”だ。このイヤホンはオーディオ仲間の“しんのすけ”が『良いイヤホンを使わないと耳が腐るぞ!これで良ければあげるよ』と酔った勢いで気前よく譲ってくれたものだ。それからというもの、デの介はこれらがおりなすサウンドに十分に満足していた。
ところが、その日は突然やってきた。
8月に入ったある日、“しんのすけ”が6月のボーナスで購入したばかりのwalkmanを何日か貸してやるから聴いてみないか、と言うではないか。もちろん存在は知っていたが、なにせ10万円以上もする高価な品物、なかなか購入するにもハードルが高い。この機を逃しては惜しいとの思いから、興奮冷めやらぬ状態で“しんのすけ”の誘いを喜んで受けることにした。
こちらが今回“しんのすけ”から借りた製品一式。
Walkman “NW-ZX2” と、同時に購入した密閉型イヤホン “XBA-Z5” だけでなく、
わざわざ友人の持っていたヘッドホン “MDR-1A” まで借りてきてくれた。
さすがは気が利く“しんのすけ”である。
これらの素晴らしさを体感するのが、夏休みの宿題だそうだ。
外装も内装もとても品があって高級感が漂う。さすがはSONYのフラッグシップといったところ。
製品もシックな黒がとてもかっこいい。トータルな価格を考えてみると、十分に高級オーディオだ。
早速“NW-ZX2”の設定を済ませて、音楽を追加してみる。“Xperia”同様のAndroidだから設定はとても簡単だ。
せっかくだから、これまでデの介の標準だった“Xperia Z3 + DM008”の組み合わせと比較してみよう。
早く聴いてみたいという、はやる気持ちを必死で抑えつつ、“NW-ZX2”と“Xperia Z3”に同じ音源を入れて比較試聴の準備を進める。よしっ、プレーヤーとイヤホンの準備は整った。いよいよ始めるぞ。
6通りの組み合わせ、比較試聴結果
①“Xperia Z3 + DM008”
まずは慣れ親しんだ音を改めて確認する。CD音源からハイレゾ音源までを一通り試聴。“DM008”は再生周波数20kHzまでのイヤホンではあるが、ハイレゾ音源では音が連続していて、特に弦の音が生々しくなる。さすがは今はやりのハイレゾ、CD音源とは一線を画している。
よし、いよいよ借りたイヤホンを試すぞ!(※今回の試聴ソフトは、巻末に記載しています。)
②“Xperia Z3 + XBA-Z5”
44.1kHz/16bitのCD音源を聴いた途端に、んっ!? と驚いた。同じカナル型イヤホンであってもこんなに違うものなのか!? 空間が澄み、一気に音場が広がる。低音が弾み、音が生々しい。これは想像以上の変化だ。
期待して96kHz/24bitのハイレゾ音源を聴いてみる。音の余韻がしっかりと伝わってくる。弦の音もいっそう生々しく聞こえる。今までデの介は多くの音を聴き漏らしていたことを痛感した。
③“Xperia Z3 + MDR-1A”
44.1kHz/16bitのCD音源を聴いてみる。これはっ!ヘッドホンであるにもかかわらず、音が前方へ広がる。“MDR-1A”をよく見るとドライバーユニットが角度をつけて取り付けられているではないか。これによって、前方への広がりを実現しているのか!
カナル型から続けて聴いたせいか、“MDR-1A”の空間表現と澄んだ空気感がとても心地よい。これまでは聴き漏らしていた些細な音もしっかりと再生され、低域も引き締まっていて且つ十分なエネルギーを感じる。
これはすごい、“MDR-1A”は価格を遥かに超える凄まじいパフォーマンスだ。
ハイレゾ音源に対する期待が一気に高まる。96kHz/24bitのハイレゾ音源を聴いてみる。もはや別物、音の余韻、生々しさ、空間表現、低域から高域までのバランス、どれをとっても素晴らしい。スマートフォンに“MDR-1A”を差すだけでここまでのクオリティが得られるなんて、思ってもみなかった。
デの介の『スマートフォンの音楽再生なんてあくまでおまけ』といった固定観念は、いとも簡単に打ち砕かれた。
さて、“Xperia Z3 + MDR-1A”によって予想以上のクオリティの高さに感銘を受けたデの介だが、これが音楽再生専用機であるwalkmanの、且つフラッグシップ機に置き換わることで、一体どこまでクオリティが高められるのか?
“NW-ZX2”よ、ほんとにその存在価値があるのか?大丈夫か?と一握の不安も抱きつつ、“NW-ZX2”の準備を進めた。
④“NW-ZX2 + DM008”
44.1kHz/16bitのCD音源を聴いてみる。ほぉー!これは驚いた、“Xperia Z3”で聴くよりも明らかに解像度が上がっている。楽器とヴォーカルの定位がはっきりし、低域も沈み込む重さを持っている。さすがは“NW-ZX2”。これがアルミフレーム+銅プレート筐体や、高品位な部品の一つ一つの力が積み重なった結果だろう。スマートフォンと違って不要なプログラムが動作していないこともプラスに働いていそうだ。S/Nに優れ、豊かなパワーと余裕を感じさせてくれる。明らかに“Xperia Z3” では感じられなかった音だ。
続けて96kHz/24bitのハイレゾ音源を聴いてみる。
CD音源以上の解像度の高い再生と低域のパワーが感じられる。“Xperia Z3”では感じられなかった中低域の太さだ。ハイレゾ音源だと更に音が生々しくて迫力が違う。一つ一つの音がずっしりと重い。
一方で、きっと“Xperia Z3 + MDR-1A”を聴いた直後であるからだろう、空間表現に少々天井を感じてしまう。
ハイレゾ対応イヤホンとの組み合わせに期待を込めて次のセッティングを進める。
⑤ここからが本命、“NW-ZX2 + XBA-Z5”の組み合わせだ。
今回の組み合わせの中ではこの組み合わせが最も価格的に高価である。一体どれほどの音を聴かせてくれるのだろうか、期待は高まるばかりだ。
まずは、44.1kHz/16bitのCD音源を聴いてみる。先程感じた天井の低さは一気に解消し、音の抜けが格段に良くなった。広い空間の中で、解像度が高く、力のある中低域に支えられた音楽が奏でられている。ヴォーカルも瑞々しいうえにパワーがある。完全に高級オーディオの音だ。ポータブルでここまで再現できるのか!
続けて96kHz/24bitのハイレゾ音源を聴いてみる。もはや天井など一切感じない広大な空間の中に、音楽のステージが見えるようだ。一つ一つの音の解像度が高く、楽器の位置まで見渡せるようだ。それでいて、音が薄くならず芯のある強い音を奏でている。思わず身体がリズムを刻んでしまう。このクオリティで音楽を聴いていられると、今にも踊りだしてしまいそうだ。
⑥いよいよ最後の組み合わせ“NW-ZX2 + MDR-1A”だ。
44.1kHz/16bitのCD音源を聴いてみる。価格的には“XBA-Z5”よりも安価ではあるが、デの介はこの組み合わせが心底気にいった。空間表現は“XBA-Z5”よりも明らかに優れている。これはカナル型イヤホンとヘッドホンという違いによるところが大きいだろう。空間が広いだけではなく、澄み渡っている。CD音源であっても、非常にS/Nが良く、広大な澄んだ空間内に音楽だけが響き渡る。音の一つ一つが繊細に紡ぎ出されており、微妙なニュアンスまで再現できている。“Xperia Z3”で再生するよりも明らかに情報量が多く、音楽にエネルギーを感じられる。
96kHz/24bitのハイレゾ音源では、もはや別次元のクオリティだ。ヴォーカルの息遣いや、その場の雰囲気まで再現できている。音が消える一瞬まで雑音に埋もれることなく聴きとることができる。また、何もないところから『スーッ』と音が立ちあがってくる。低域は沈み込みながら、且つ小気味よく弾む。ヴォーカルの瑞々しさにはうっとりさせられる。とてつもない臨場感だ。ポータブル機器ではあるが、騒音のない静かな空間で使用すれば、凄まじい感動が得られる。
6通りの接続での試聴を終え、デの介は“NW-ZX2”, “XBA-Z5”, “MDR-1A” のポテンシャルに完全に屈服してしまった。一方で“Xperia Z3” の再生能力も「おまけ」レベルでないことがはっきりと確認できた。
最後に、“NW-ZX2” では簡単にハイレゾ音源をダウンロードすることができ、簡単にハイレゾデビューすることができるので、そちらを紹介しておきたい。
“NW-ZX2” は先に述べたとおり、Android 端末の顔も持ち併せており、Wi-Fi 設定を行った後であれば気軽に、
からハイレゾ音源をダウンロードすることができる。(随分と手軽になったものだ…。)
まずは、“NW-ZX2” にgoogleアカウントを登録して、mora を起動する。
moraを起動すると、なんと、『無料ハイレゾ配信曲』のお知らせが!
これは、ダウンロードしない手はない!
こうして簡単にハイレゾ音源を入手。(ハイレゾ音源購入の際には、Wi-Fi回線をお勧めします。)
好きなアーティストの曲も、アルバム単位だけでなく楽曲単位で売られていることが多く、好きな曲だけを購入することも可能で、とってもリーズナブル!