過去のおすすめソフト
株式会社音楽之友社 ステレオ編集部 (選者)神崎 一雄氏 6月の優秀録音盤
株式会社音楽出版社 CDジャーナル誌 (選者)原 雅明氏 6月の推薦盤
2015年5月14日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト
小林有沙「シューマン:幻想曲 リスト:愛の夢 第三番 他」
CD
発売元:オクタヴィア・レコード
リリース日:2013.12
価格:¥3,000円+税
品番:OVCT-00102
聴きどころ
今回はクラシック系のオーディオファイルレーベルとして知られるオクタヴィアレコードから発売されている若き日本女性演奏家たちのCD/SA-CDを取り上げる。
初めは小林有沙、美樹の姉妹の演奏したディスクを3枚。まず、ピアニストの姉、有沙のデビューCD「シューマン:幻想曲、リスト:愛の夢第3番ほか」。ライナーノートによると、メインに取り上げた「シューマンの幻想曲」は小林有紗本人が最初の録音として取り上げたいと思っていた曲とのこと。その演奏は情緒豊かに、時にはダイナミックにと、ピアニシモからフォルテシモまで一音一音大切にした演奏で、シューマン、リストの美しい旋律をみずみずしい音色とともに聴く人を音楽に引き込むものである。それは1曲目のシューマンの幻想曲から、本人曰くアンコール曲としての終曲、リストの愛の夢第3番まで貫かれ、あたかも1つのコンサートを聴く感がある。録音は三芳町文化会館「コピスみよし」で、しっかりした定位感と自然な残響を持つ、まさにオクタヴィア録音そのものと言う、優秀録音である。
評:JAS
2015年5月14日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト
小林美樹「ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲 第一番 他」
スーパーオーディオCD ハイブリッド・レイヤー・ディスク
発売元:オクタヴィア・レコード
リリース日:2011.11
価格:¥2,857円+税
品番:OVCL-00454
聴きどころ
2枚目はバイオリニストの妹、小林美樹のデビューアルバム。「ショスタコービッチ:バイオリン協奏曲第1番、プロコフィエフ:バイオリンソナタ第2番」。デビューCDにしては重たい選曲だが、ライナーノートによると彼女が在籍しているウィーン私立音楽学校の名教師で旧ソ連からの亡命音楽家パヴェル・ヴェルニコフ(ダヴィド・オイストラフの直弟子)との関係によるものとのこと。両曲ともにダヴィド・オイストラフが初演している。演奏は、収録時21歳とは思えないほどの技巧と斬新さに溢れ、特に第3楽章の長大なカデンツァから第4楽章は圧巻。2曲目は姉の小林有紗がピアノを弾き、姉妹の息のあった演奏を披露。これも特に第4楽章はスピード感と抜群の一体感に溢れ、聞くものを引き入れる演奏。録音はショスタコービッチが東京オペラシティー・コンサートホールでのライブ(拍手入り)。プロコフィエフはかながわアートホールでのセッション録音。共に残響を抑え、各楽器を鮮明に捉えたとても抜けがよい録音。試聴はSA-CD層で行った。
評:JAS
2015年5月14日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト
小林美樹「ブルック:ヴァイオリン協奏曲 第一番 他」
スーパーオーディオCD ハイブリッド・レイヤー・ディスク
発売元:オクタヴィア・レコード
リリース日:2013.2
価格:¥2,857円+税
品番:OVCL-00491
聴きどころ
次は、小林美樹の2作目「ブルッフ:バイオリン協奏曲1番、R. シュトラウス:バイオリンソナタ」。一作目から一転し、ロマン派の2曲となっている。有名なブルッフのバイオリン協奏曲第1番はオーケストラとバイオリンが一体となったロマンティシズムにあふれた見事な演奏。2曲目のR. シュトラウスのバイオリンソナタは、実は筆者も初めて聞く曲であったが、とてもR. シュトラウスさ溢れた素晴らしい楽曲で、歌謡性のあるメロディーはまさしくR. シュトラウスでとても気に入った。演奏は、特に第3楽章での伸びのある小林美樹のバイオリンと、ダイナミックで雄大感を表現する松本和将のピアノとのアンサンブルは圧巻。録音は一作目同様、協奏曲がライブで、ソナタはセッション録音だが、ロマン派の曲だからかだろうか、録音場所(協奏曲がティアラこうとう、ソナタが稲城iプラザ)の違いだろうか、ホールトーンを多く含む録音となっている。コンサートホールのやや後方で聞く感じで自然で豊かな音色である。試聴はSA-CD層で行った。
評:JAS
2015年5月14日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト
水野由紀「シューベルト:アルペジオーネ・ソナタ 他」
CD
発売元:オクタヴィア・レコード
リリース日:2013.11
価格:¥3,000円+税
品番:OVCL-00526
聴きどころ
4枚目はチェリスト水野由紀の二作目となる「シューベルト:アルペジョーネソナタ、ショパン序奏と華麗なるポロネーズ、他」である。水野由紀は昨年、一昨年と日本オーディオ協会が主催する「音展」でミニコンサートを開いており、当ホームページの閲覧者には馴染みが深いと思うが、彼女の美しさと「凛とした力強さをもつ演奏」にファンの方も多いと思う。彼女のチェロは、粘りのある深みを帯びた音色で、1曲目のアルペジョーネソナタ第1楽章の有名な旋律から聞くものを音楽に引き入れ、終曲の切ないフォーレまで彼女の世界を創り出している。録音は三芳町文化会館「コピスみよし」でのセッション録音。水野由紀のチェロがしっかり前面に定位し、残響を持って少し後方に広がる干野宣大のピアノがしっかりサポートする。チェロとピアノという少々渋い作品であるが、録音と演奏がマッチした上質のアルバムである。
評:JAS
2015年5月14日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト
塚越慎子「-パッション-」
CD
発売元:オクタヴィア・レコード
リリース日:2013.12
価格:¥3,000円+税
品番:OVCC-00106
聴きどころ
オクタヴィアレコードの若き日本女性演奏家のとりは世界的にも高い評価を受けているマリンバ奏者、塚越慎子の「パッション」。マリンバはジャンル的にはクラシックの打楽器に入るが、このアルバムでは「タンゴ」を取り上げ、1曲目は「これぞタンゴ」と言わんばかりのピアソラの「リベルタンゴ」。ピアノとのデュオで演奏される3曲目の「タンゴ・バロッコ」はとてもタンゴらしい軽快な1曲。彼女の素晴らしいテクニックとダイナミックで軽快なマリンバの音は心地よい。一方、8曲目のピアソラの「オブリビオン」では深みのある空気感を感じさせる暖かい音色と、塚越慎子は多彩な音色を奏でる。終曲は塚越慎子の依頼でJAZZ作曲家の挾間美穂が作曲した新曲「アメリカ組曲」。北米、南米の6種のリズムを取り上げた組曲で、ソプラノサックス、コントラバスとのトリオ演奏はなかなか聴き応えがある。録音は三芳町文化会館「コピスみよし」でのセッション録音。マリンバという音域が広く、多彩な音色をもつ楽器を、とても素直にアコースティックに録った、とても心地よいアルバムである。
評:JAS
2015年5月14日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト
LED ZEPPELIN:「HOUSES OF THE HOLY〈Deluxe Edition〉 / 聖なる館【2014リマスター/デラックス・エディション】」
CD
発売元:Warner Music Japan Inc.
リリース日:2014.10
価格:¥2,800(本体)+税
品番:WPCR-16091/2
聴きどころ
レッド・ツェッペリンの2014年6月に発売された初期3作に続いて、「レッド・ツェッペリンIV」と同時にリリースされた「聖なる館」のリマスター版!今でこそ “多様性” という言葉を用いられているが発売当時は様々な批評を受けたアルバム、しかしながらその後に発売されたライブ アルバムにおける このアルバムの収録曲を聞くと 1本芯の通った楽曲で構成されたアルバムである事がわかる。この2014リマスターシリーズに共通するのは「各楽器(ヴォーカルも含む)の音と奥行き感をはっきりさせることでそれぞれの存在感を際立たせること」だと思う、それにより1曲目「永遠の詩」では12弦と6弦エレキギターのスリリングな掛け合いが、2曲目「レインソング」では曲中で使用されている磁気テープを音源とするメロトロンの特長が如実に現れる。3曲目「丘のむこうに」で注目すべきはドラム。ドラムが演奏を支えている事がよくわかる6曲目「デジャ•メイク•ハー」におけるギターは “ディストーションはこうあるべき” と言っているのではと思うほど。ヴォーカルについても無論全曲にわたって存在感がある。”多様性” という表現をされ様々な楽器を使ったこのリマスター アルバムはオーディオファンとしても面白い、さらに このバンドがジミー・ペイジ、ロバート・プラント、ジョン・ポール・ジョーンズ、そしてジョン・ボーナムの4人でなければならなかった(注)理由もわかる。
注)1980年にジョン・ボーナムが他界したことでバンドは解散している
評:JAS