過去のおすすめソフト

2015年8月8日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト

山中千尋 シンコペーション・ハザード
[通常盤][SHM-CD]

発売元:ユニバーサルミュージック合同会社
発売:2015.7.15
価格:¥3,024(税込)
品番:UCCQ-1043

聴きどころ

日本人ジャズの一作目は山中千尋ピアノによるトリオ演奏。ラグライムをテーマに取り上げたアルバムだが、軽快かつ超絶技巧的なピアノ演奏に加え、彼女の曲作りはラグライムと言う古いアメリカ音楽を単に現在風にアレンジするだけではなく、山中流にとても新鮮な音楽に仕上げ直している。2曲目の有名なスコット・ジョプリンのエンターテイナーでは、古典の中に斬新さがあり、4曲目のイージー・ウィナーではキーボードとドラムで都会的な雰囲気を醸し出し、6曲目のリフレクション・ラグはロック風にと、1900年代初期のスコット・ジョプリンの音楽をまさに新鮮なこの瞬間の音楽に再創造している。加えて3曲目のメイプル・リーフ・ラグでの軽快なピアノ演奏は気持ちいい。11曲目のグレイスフル・ゴーストはミディアムテンポで、古きラグタイムを愉しむと同時に、終曲らしく山中千尋の音楽の世界の余韻を楽しむエピローグ感が出ており、アルバム構成も完成度が高い。ニューヨークのEastSide Soundスタジオで録音され、ベースの音像の上のピアノ、ドラムが左右に広がり、一体感のあるトリオ演奏録音となっている。演奏、録音共に痛快なアルバムである。

評:JAS

2015年8月8日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト

オブ・ザ・セイム・マインド【SHM-CD】【CD】
デイヴ・ウェックル・アコースティック・バンド

発売元:ユニバーサルミュージック合同会社
発売:2015.7.22
価格:¥2,808(税込)
品番:UCCU-1493

聴きどころ

日本人ジャズの二作目は小曽根真参加のデイヴ・ウェックル・アコースティック・バンドのアルバム。リーダーはチックコリアのバンドで活躍したドラムのデイヴ・ウェックルだが、ここでの小曽根のピアノは素晴らしい。ご存じの通り小曽根真は世界で活躍するジャズピアニスト。ピアノ演奏に加え曲作りも行い、このアルバムでも3曲が小曽根作曲の楽曲。中でも8曲目のアグア・ジ・ラ・ムジカはラテン調の曲で、小曽根のアコースティックピアノとブラシ演奏のドラムとのインタープレイは最高。アルバム全体は非常にオーソドックスなメインストリームジャズで、楽曲もマイルスデイビスのAll Blues以外、先の小曽根の3曲も含み、全てメンバー作曲の楽曲となっている。録音はロサンジェルスのSunset Soundスタジオで行われ、ドラムが左右に広がり、サックスはやや左手、ピアノはやや右手から大きく左右の広がり、アコースティックベースの形をしたエレキベースと共に重量級の音質となっている。因みにこのベースは「Electric Upright Bass」と表記されているが、音色はエレキベースだが、演奏はジャズに向いているように感じた。演奏、録音共にこれぞ現代の「モダンジャズ」演奏に仕上がっている。

評:JAS

2015年8月8日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト

本田雅人 / SAXES STREET【CD】【SHM-CD】

発売元:ユニバーサルミュージック合同会社
発売:2015.6.24
価格:¥3,240(税込)
品番:UCCJ-2126

聴きどころ

日本人ジャズの最後は本田雅人のフュージョンアルバム。本田雅人のリードを中心に豪華メンバーによるリズムセクションがそれぞれの楽曲に参加している。リズムセクションに加え、オープニング曲ではトランペットのエリック宮城が参加し、1曲目からギンギンの、と言うか王道のフュージョン演奏となっている。2曲目は、本田はフルートを演奏し、ラテン調の軽快なイージーリスニング的な曲。その後もギンギンのフュージョンとさわやか系を織り交ぜ楽しく聞けるアルバムに仕上がっている。録音はエレキ感たっぷりの太いガツっとした音。繊細さとかアコースティック感は少ないが、これぞフージョンという太くずっしりした音作りで、その中に中高音のメリハリ、スピード感のあるコンテンポラリーな音作り。ただ、2曲目と6曲目には井上陽介のアコースティックベースが入っており、妙に筆者の耳には心地よかった。

評:JAS

株式会社音楽之友社 ステレオ編集部(選者)峰尾 昌男氏 8月の優秀録音盤

柔らかくかつ鮮明という希有なバランスを備えた録音

J.S. バッハ: オルガン独奏のための六つのトリオ・ソナタ
●ロレンツォ・ギエルミ(オルガン/ユルゲン・アーレント建造)
CD

発売元:マーキュリー
価格:¥2,800+税
品番:PSC967

株式会社音楽出版社 CDジャーナル誌 (選者)湯浅 学氏 8月の推薦盤

モンサント社の地球規模の悪業

ル・ヤング+プロミス・オブ・ザ・リアル / ザ・モンサント・イヤーズ
CD+DVD

ジャンル:海外ロック&ポップス
レーベル:リプリーズ
発売元:ワーナー・ミュージック・ジャパン
発売日:2015.7.29
価格:¥3,124+税
品番:WPZR-30662~3

2015年7月9日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト

オルフ:世俗カンターテ「カルミナ・ブラーナ」
スーパーオーディオCD ハイブリッド・レイヤー・ディスク

発売元:オクタヴィア・レコード
録音:2015.2.27
価格:¥3,200(本体)+税
品番:OVCL-00552

聴きどころ

今月はオクタヴィアレコードのアルバムを3作品取り上げる。
一作目、5月度のこのコーナーにて、優秀録音盤としてステレオ編集部 峰尾昌男氏により取り上げられたオルフ:世俗カンターテ「カルミナ・ブラーナ」。演奏は飯森範親指揮の東京交響楽団、加えて3人のソリストと合唱と言う大編成の楽曲。アナログオーディオ時代にチェックとして定番の楽曲で筆者もよく聞きた。久しぶりに聞いた「カルミナ・ブラーナ」であるが、その特徴的なリズムはとても切れが良く冒頭から一気に引き込まれる。オーケストラ、合唱、そしてバリトン、テノール、ソプラノのソリスト、全てが素晴らしく、名演奏である。歌は主にラテン語との事で全くわからないので、是非ライナーノートにある訳詩を見ながら聴くことをお勧めする。内容はとても世俗的で、時にはユーモラスで歌詞の内容を理解して聞くとソリストの歌い方(演技)が目に浮かび、一層楽曲への理解が深まる。さて、録音はライブ盤にも関わらず、優秀録音である。壮大な部分も響きが豊かで崩れることは無く、小音量でも各楽器が鮮明に鳴っており、3人のソリストの歌も、定位、動きまではっきりわかる。ライブ録音でありながらセッション録音的な鮮明な録音がされており、まさにオクタヴィアならではの、またDSDならではの録音。圧倒的な迫力のフィナーレの後の拍手も記録されており素晴らしい演奏会であったことが分かる。演奏、録音共に一押しのディスクである。試聴はスーパーオーディオCD層で行った。

評:JAS

2015年7月9日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト

インバル(指揮)東京都交響楽団「マーラー:交響曲第 9 番」
スーパーオーディオCD ハイブリッド・レイヤー・ディスク

発売元:オクタヴィア・レコード
録音:2014.11.21
価格:¥3,800+税
品番:OVXL-00087

聴きどころ

二作目はマーラー交響曲第9番。演奏はインバル指揮の東京都交響楽団。都響としてはインバルとの2回目となる新マーラーチクルスからのライブ演奏で、今回はワンポイント録音バージョンをとりあげる。指揮者のインバルは1980年代フランクフルト放送交響楽団とのマーラー演奏が有名で、都響も若杉弘、インバル(1回目)、ベルティーニとマーラーチクルスを行っており、インバル、都響共にマーラー演奏は定番と言える。従って、演奏は素晴らしくまさにマーラーを知りつくした両者による名演となっている。録音は前述の通りスポットマイクを使ったミックスバージョンではなくBK4006、2本によるワンポイント録音である。最近のアルバムにしては珍しく、江崎氏による「プロデューサーノート」とマイクアレンジ図と使用機材詳細が記載されているが、当然、マイクアレンジ図はマイク2本となっている。このワンポイントマイクが話題になったのはまさしく1985年10月10 – 11日のインバル/フランクフルト放送交響楽団によるフランクフルトアルテオーパーでのマーラー交響曲第4番の録音であった。その録音の数年かかってのアルテオーパーでのマイクロフォンの最適位置探しなどの準備は、現在当協会の諮問委員を務める穴澤健明氏が手がけ、氏によると「マーラーの中でも比較的編成の小さい4番でようやくベストポイントを探し出すことが出来た」との事であった。因みに1985年のアルテオーパーでの録音も今回と同じBK4006、2本である。
さて、今回の録音であるが、低音が重心低く豊かに広がり、その上に奥行き感を持って各楽器が定位し、ステージ感のある自然な音場を再現している。また、各楽器もマスキングされることなく、うまくミックスされ自然な響きとなり、この空間再現性が更に演奏の芸術性を高めている。まさに、名演奏、名録音である。試聴はスーパーオーディオCD層で行った。

評:JAS

2015年7月9日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト

吉田 恵「バッハ:クラヴィーア練習曲集 第 3 巻」
スーパーオーディオCD ハイブリッド・レイヤー・ディスク

発売元:オクタヴィア・レコード
録音:2015.4.24
価格:¥4,200+税
品番:OVCL-00567

聴きどころ

最後は、ガラッと変わって、オルガニスト吉田 恵 演奏の 「バッハ:クラヴィーア練習曲集 第3巻」。録音はオランダ・ズヴォレ市の聖ミヒャエル教会でアルプ・シュニットガーの遺作となるオルガン。曲は「ドイツ・オルガン・ミサ」としても知られる「クラヴィーア練習曲集第3巻」。2枚組で100分に及ぶ聴きごたえのある大作だが、録音の良さもあり、長さは感じない。その録音だが、石作りの教会でのオルガン録音は、一般的にかなりの残響音を含むが、この録音は各パイプがクリアーに録音され、あまりマスキングされず、1音1音が比較的クリアーに聞こえる。それがオルガン録音としていいことかどうかは別にして、純粋にオルガンの様々な音色と楽曲の良さを楽しむことが出来るのは確かである。事実、レコード芸術6月号で特選盤と優秀録音に選ばれている。この大作の後に収録されている「4つのデュエット」と「フーガ変ホ長調」もよく、全体として楽しめる作品に仕上がっている。試聴はスーパーオーディオCD層で行った。

評:JAS

2015年6月11日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト

ショスタコーヴィッチ:交響曲第七番「レニングラード」
パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)、ロシア・ナショナル管弦楽団
スーパーオーディオCD ハイブリッド・レイヤー・ディスク

録音:2014.2
価格:オープン価格
品番:PTC5186511

聴きどころ

今月はオランダ、ペンタトーンから2枚のスーパーオーディオCDを取り上げる。ディスクレビューの前に、少しペンタトーンに関して触れておきたい。
ペンタトーンは多くのスーパーオーディオCD盤をリリースしているインディーズ系のオーディオファイルレーベルとして知られているが、歴史は長くその母体は1950年代に設立されたPhilips Classicの録音センターである。その後、1973年に録音センターはオランダの中央に位置する小さな町Baarnに移り、Polyhymniaと名づけられ、当時はポリグラムの一員として数々の名録音を残していた。しかし、CD市場の縮小と共に、今でいうリストラにより、親会社であるポリグラムはPhilips Classicsの録音センターの閉鎖を決めた為、当時の4名のエンジニアがPolyhymniaの名前を踏襲し、録音サービス会社として独立した。その同じ地で2001年にPolyhymniaが得意とする5チャンネルサラウンド録音作品をリリースする為に設立されたのがペンタトーンである。従って、Polyhymniaが録音したサラウンド作品を多くリリースし、また、過去にPhilips Classic時代に録音された4チャンネル録音(RQR)のリマスター作品も多くリリースしている。
前置きが長くなったが、一作目はショスタコーヴィチの交響曲第7番「レニングラード」。指揮者は日本でも人気の高いパーヴォ・ヤルヴィ。オーケストラはロシア・ナショナル管弦楽団。録音は2014年2月モスクワ音楽院大ホールで、セッション録音となっている。
「レニングラード」は5番の「革命」と共に人気の高い作品であるが、演奏時間は70分を超え、ショスタコーヴィチ最長の交響曲である。しかし、第一楽章の第一主題後の超弱音の中から始まる聞きなれた第二主題を様々な管楽器が繰り返し奏でるあたりから一気に楽曲に引き込まれ、雄大な終曲まで、長さを忘れ、聴き通すことができる。これは、パーヴォ・ヤルヴィの曲作りの明確さと共に、Polyhymniaのサラウンド録音によるところが大きい。特に、フルオーケストラにも関わらず各楽器の粒立ちの良さとなめらかさ、また、サラウンド録音による空気感あふれる音場は、時には緊張感さえ醸し出し、サラウンド録音にたけたPolyhymniaならではの優秀録音といえる。スーパーオーディオCDサラウンドで試聴。

評:JAS

2015年6月11日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト

フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調
/R・シュトラウス:ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 作品18
アラベラ・美歩・シュタインバッハー(ヴァイオリン)
スーパーオーディオCD ハイブリッド・レイヤー・ディスク

録音:2012.5
価格:オープン価格
品番:PTC5186470

聴きどころ

次は、アラベラ・美歩・シュタインバッハーのバイオリンによる、フランクとR. シュトラウスのバイオリンソナタ。録音は2012年オランダで行われ、セッション録音。アラベラ・美歩・シュタインバッハーは日本人を母親に持ち、国際舞台で活躍する第一線のバイオリン二ストであり、多くのCDをペンタトーンより発売している。演奏曲は共に美しい旋律をもつ名曲であるが、アラベラ・美歩・シュタインバッハーの伸びのある多彩な音色の演奏は素晴らしく、また、ロベルト・クーレックのピアノもダイナミックでバイオリンととても良くマッチし、繊細かつスケールの大きいバイオリンソナタに仕上がっている。録音はバイオリンの後ろにピアノが定位し、サラウンド録音ならではの音場感、ステージ感が出ており、あたかもコンサートホールの最上席で聴くような自然な臨場感は素晴らしい。これもPolyhymniaならではの優秀録音である。スーパーオーディオCDサラウンドで試聴。

評:JAS