過去のおすすめソフト
株式会社音楽之友社 ステレオ編集部(選者)山之内 正氏 9月の優秀録音盤
株式会社音楽出版社 CDジャーナル誌 (選者)安田 謙一氏 9月の推薦盤
2016年8月22日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト
春の声
森 麻季
品種:スーパーオーディオCDハイブリッドディスク
発売元:avex CLASSICS
発売日:2016/06/22
定価:¥3,240(税込)
商品番号:AVCL-25890
聴きどころ
今月はエイベックス・クラシックスから発売の日本人アーティストによるアルバムを3作取り上げる。まず始めは、日本を代表するソプラノ歌手 森麻季が「春や夢や希望」をテーマに選曲した歌曲集。ホフマンの舟歌等なじみのある楽曲で構成され、メゾソプラノの林美智子とのデュオもあり、また、終曲には、オクタヴィア・レコードから発売済みのインバル指揮・東京都交響楽団による「新マーラー・ツィクルス」交響曲第4番から森麻季が歌った第四楽章が収録され、先ずは選曲がすばらしい、耳にも心にも優しい歌曲集である。録音は、終曲以外はオクタヴィア・レコードの松田氏が担当し、そして終曲のマーラーは勿論、オクタヴィア・レコードの江崎氏である。高品位録音作品をリリースすることで知られるオクタヴィア・レコードがエンジニアリングを担当しており、自然な音場が再現され素晴らしい録音である。さらに、スーパーオーディオCD層にはCD層と同じ通常録音に加え、ワンポイントマイクによる録音バージョンも追加され、オーディオ的にも興味深い取り組みがされている。通常録音は豊かで明るい音場が広がり、森麻季のソプラノが明るく華やかに再現され、その音色は楽曲にマッチしている。一方、ワンポイントマイク録音は、音像は多少コンパクトになるが、森麻季の歌声とオーケストラの各楽器の定位と音像がよりはっきりし、声とオーケストラが見事に融合した自然な録音となっている。楽曲のすばらしさに加え、オーディオ的な楽しみも加わった好アルバムである。
評:JAS
2016年8月22日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト
ツィゴイネルワイゼン~名曲コレクション
三浦文彰
品種:CD
発売元:avex CLASSICS
発売日:2016/07/20
定価:¥3,240(税込)
商品番号:AVCL-25902
聴きどころ
次は若手ヴァイオリニスト 三浦文彰の紀尾井町ホール(東京)でのリサイタルのライブ録音。ピアニスト 田村響とのツアーの最終公演からの録音で、なじみある楽曲を確かなテクニックとともに音楽性豊かに演奏した作品集である。悪魔のトリル、ツィゴイネルワイゼンと技巧的な楽曲では、華やかでダイナミックに、一方、ドヴォルザークの4つのロマンティックな小品等、メロディアスな楽曲ではなめらかでやさしく、伸びがあり開放的な三浦文彰のヴァイオリンの音色は魅力的で素晴らしい。録音はオクタヴィア・レコードの江崎氏である。ヴァイオリンはしっかりセンターに定位し、華やかにクリアーに録られ、その後ろにピアノが多少の残響とともに広がり、ホール感を出している。演奏、録音共に素晴らしいアルバムである。
評:JAS
2016年8月22日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト
リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調 / ラヴェル:夜のガスパール
辻井伸行
品種:CD
発売元:avex CLASSICS
発売日:2016/07/20
定価:¥3,240(税込)
商品番号:AVCL-25903
聴きどころ
最後は、ドイツベルリンの世界最高峰のレコーディングスタジオTeldex Studio(テルデックス スタジオ)での辻井伸行のセッション録音。楽曲はリストとラヴェルの超絶技巧曲。リストはとにかく重く且つ華やかで、特に第3楽章のスピード感とスケール感は素晴らしい。ラヴェルは、印象派特有の浮遊感がよく表現され、更に第3曲スカルポでの超絶技巧は圧巻。辻井伸行のダイナミックで音楽性豊かな演奏は素晴らしい。録音はTeldex StudioのJulian Schwenkler氏が担当し、重厚な低音からきらびやかで緻密な高域まで、辻井伸行のスケール感豊かな演奏が余すところなく録られ、セッション録音ならではの優秀録音。ダイナミックレンジの広い楽曲でもあるので、許されるなら少々大きめの音量で聞くと圧倒的である。辻井伸行の素晴らしい演奏を納めた優秀録音盤である。
評:JAS
株式会社音楽之友社 ステレオ編集部(選者)峰尾 昌男氏 8月の優秀録音盤
株式会社音楽出版社 CDジャーナル誌 (選者)松永 良平氏 8月の推薦盤
2016年7月25日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト
ブラームス:交響曲第1番&ハイドンの主題による変奏曲
シャルル・ミュンシュ(指揮)
日本フィルハーモニー交響楽団
品種:CD
発売元:オクタヴィア・レコード
発売日:2016.6.24
定価:¥2,700(税別)
商品番号:OVCL-00597
聴きどころ
高品位録音作品をリリースすることで知られるオクタヴィア・レコードから歴史的録音の発売である。若林俊介氏がラジオ番組用に録音した作品で、1962年12月20日上野の東京文化会館でのシャルル・ミュンシュ指揮、日本フィルハーモニー交響楽団のライブである。当然、今から半世紀前の録音であるから、音質面では今のハイレゾ録音には及ばない。しかし、同年までボストン交響楽団の常任指揮者であったシャルル・ミュンシュが単身来日し、創立まだ8年の日フィルを指揮した歴史的録音の発売の意義は大きいと思う。フルトベングラーのベートーベン、トスカニーニのレスピーギ、ワルターのマーラー、近年の録音に比較し音質は劣るとも、その音楽は人の心を動かす。やはり音楽はその演奏の素晴らしさが要である。しかし、音質は良いことに越したことはない。その意味で、今回オーディオファイルレーベルから古い音源でも最良のコンディションでリリースされることの意義は大きい。前置きが長くなったが、素晴らしい演奏である。シャルル・ミュンシュのブラームス交響曲1番は1968年録音のパリ管との演奏が有名であるが、それに勝るとも劣らない演奏である。黎明期にあった日本のオーケストラが世界一流のオケの演奏に全く引けを取っていない。当時生でこの演奏を聴いた人の感動は計り知れなかったと思う。演奏はパリ管同様、遅めではあるがそれが緊張感、重量感を出し、加えて、セッション録音のパリ管に対し、ライブであるが故と思われるが、スピード感があり、ライブの高揚感は大きい。また、音質の関しても、第二楽章のホルンを伴ったバイオリン独奏、随所で奏でられる管楽器一つ一つの音色等ではライブの空気感が感じられ、確かにDレンジは狭いが、当時の若林録音のすばらしさを感じられる。盤ごとのマスタリングにもよると思うが、パリ サル・ワグラムでのセッション録音のパリ管に比較し、録音の質は数段上と言える。日フィル創立60周年の記念盤ということもあるが、多くのクラシックファンに聞いていただきたい歴史的名盤である。
評:JAS