過去のおすすめソフト
株式会社音楽出版社 CDジャーナル誌 (選者)オラシオ氏 3月の推薦盤
株式会社音楽之友社 ステレオ編集部(選者)峰尾 昌男氏 2月の優秀録音盤
株式会社音楽出版社 CDジャーナル誌(選者)鈴木 喜之氏 2月の推薦
株式会社音楽之友社 ステレオ編集部(選者)福田 雅光氏 1月の優秀録音盤
株式会社音楽出版社 CDジャーナル誌(選者)柳樂 光隆氏 1月の推薦盤
2018年12月25日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト
小川理子 Balluchon「バルーション」
品種:CD(UHQCD仕様)
発売元:UAレコード
発売日:2018.10.11
定価:3,000円(税込)
商品番号:UA-1002
聴きどころ
オーディオ評論家の潮晴男氏と麻倉怜士氏が立ち上げたウルトラアート(UA)レコードの第二弾アルバム、ジャズピアニスト小川理子のBalluchon「バルーション」を紹介します。まず、演奏者の小川理子さんですが、ご存知の方も多いかと思いますが、本職はパナソニックの役員でTechnicsブランドの総帥としてオーディオ事業をリードしている方で、今年からは日本オーディオ協会の会長も務められています。つまり、日本のオーディオ界を引っ張るビジネスパーソンです。一方、アーティストとしては、3歳からピアノを始め、松下電器(現パナソニック)に入社後も既に14枚のアルバムをリリースしジャズピアニストとしての道も確実に歩まれ、まさにビジネスとアーティスト活動を両立されている方です。録音はポニーキャニオン代々木スタジオで行われ、Pyramics にて、384KHz サンプリング/32 ビットで録音されたとのことです。また、録音エンジニアはUAレコードの第一弾「エトレーヌ」と同じく、日本コロムビアの塩澤氏です。その音質はUAレコードのモットーでもある「オーバーダビング、編集なしの『ワンテイク録音』」「生成りの素直な音を得るためコンプレッションなどに頼らずにピュアにハイレゾ録音」の言葉通り、スピード感のあるフレッシュな音質に録られています。内容は第一弾同様、潮氏と麻倉氏がA/B面という形で6曲ずつそれぞれプロデュースし、A面はベテランリズムセクション、B面は若手メンバーがバックを固め、スイング感あふれるガーシュイン、エリントンというジャズの名曲からレノン&マッカートニーのLady Madonnaまで一曲目から終曲まで通して楽しめます。小川さんのピアノは盤石なテクニックの上に抜群のスイング感を持ち、例えばピアノソロで弾かれる6曲目のBut not for meは、とても魅力的で安定感のある演奏で、圧巻です。また、A面は随所で特徴的なソロをとるギターが、B面は正確且つ多彩なリズムを刻むドラムが小川さんの演奏を盛り上げています。最良の音質でスイング感あふれるジャズ演奏が楽しめるこのアルバムは、多くの方にお薦めしたい一枚です。
評:JAS
2018年12月7日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト
アン・バートン 『シングス・フォー・ラヴァーズ』(完全限定生産ステレオサウンド販売品)
品種:スーパーオーディオCDハイブリッドディスク
発売元:ステレオサウンド
発売日:2018.11.15
定価:3,780円(税込)
商品番号:SSVS-007
聴きどころ
ステレオサウンドからスーパーオーディオCDハイブリッドレイヤーディスクとして発売されたアン・バートンのアルバムを取り上げる。アン・バートンは1933年オランダ生まれのジャズシンガーだが、その穏やかで深みのある歌声とセンスある選曲は日本でも人気があり、1970年代から数回来日し国内録音も行なっている。また、当録音はCBS/EPIC制作とのことだが、移籍前のオランダ「artone」レーベルから発売の「BLUE BURTON」等も含め、彼女のアルバムは録音の良さが評価され、オーディオファンの間でも人気のあった歌手である。当アルバムも1971年録音ながら高音質にリマスタリングされている。ボーカルは中央前面にオンマイクで定位し、バックの各楽器も基本オンマイクでそれぞれの位置に定位良く配置され、バランスの良い小編成バンドの音場を作り出している。アン・バートンのじっくり聴かせるボーカルと、それぞれ左右に位置するギター、オルガンとの絶妙な掛け合いは素晴らしく、とてもフレッシュで生演奏を聴いているようである。アン・バートン自身によるという選曲も、ジャズにとらわれず、ビートルズ曲などもあり、スローテンポながら終曲迄飽きずに聴かせる。半世紀近く前のアルバムであるが、録音、内容ともに決して古さを感じさせることのない普遍的なボーカルアルバムとして、オーディオファンのみならず、多くの方に聴いていただきたいアルバムである。
評:JAS
株式会社音楽之友社 ステレオ編集部(選者)山之内 正氏 12月の優秀録音盤
株式会社音楽出版社 CDジャーナル誌(選者)小出 斉氏 12月の推薦盤
2018年11月12日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト
吉岡聖恵「うたいろ」CD
発売元:Sony Music Labels Inc.
リリース日:2018.10.24
価格:¥3000+税
品番:ESCL 5117
聴きどころ
彼女はNHK全国学校音楽コンクール2009年中学生の部課題曲「YELL」やNHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』主題歌「ありがとう」がヒットした国民的音楽バンドいきものがかりのセンターボーリスト。2017年からのバンド活動休止中に制作されたソロ1stアルバムを紹介します。
まずは音程感が素晴らし歌声にのせて納められている11曲のタイトルで、全体像をつかんで頂きたい。いきものがかりの先輩格で路上ライブ出身のゆずの楽曲「少年」、米津玄師(よねつけんし)の新曲「アイネクライネ」、村下孝蔵の「初恋」、スピッツ1998年のシングル「冷たい頬」、ピター・ポール&マリーが歌って日本でも大ヒットした「500マイル」、服部良一作で笠置シズ子が歌うブギ―シリーズからの一曲「ヘイヘイブギ―」、堺正章「さらば恋人」、南沙織1976年のヒット「哀しい妖精」、ホルストの組曲惑星・木星から引用された賛歌「ワールド・イン・ユニオン」、大滝詠一作でシリア・ポールが歌った「夢で逢えたら」。NHKで「ありがとぅ~」と毎朝聴いてその清涼感溢れる歌声を覚えていた皆さんには、きっと掴みがあるラインナップばかりです。
ライナーノーツからは収録におさえたスタジオが7か所で参加したドラマーも6人にのぼり、音作りに時間と膨大な手間暇が掛かっているのは、一聴瞭然であり派手な音造りではなく、オーディオ再生でも楽しく聴きたいサウンドに。「夢で逢えたら」の基本的なバックトラックは1977年FUSSA 45 STUDIOでの収録で笛吹銅次(大滝詠一の変名)がエンジニアとしてクレジットされているのが特記ものです。
評:JAS