2015年10月8日 日本オーディオ協会が選んだおすすめソフト
聴きどころ
2作目はヴィーナスレコードならではのピアノトリオ作品。演奏はサイラス・チェスナット・トリオでクラシックの楽曲を取り上げたアルバム。録音は2011年で同年に発売されたCDのスーパーオーディオCD 盤である。クラシック楽曲のジャズ化は古くはジャック・リューシェのPlay Bach、オイゲン・キケロのロココジャズ等が有名だが、サイラス・チェスナットはバッハからハチャトリアンと広く馴染みのある名曲を見事にアレンジしている。
1曲目は大バッハの次男エマニュエル・バッハの有名なソルフェージエット。小気味よくスイングし、そのピアノテクニックが冒頭から圧倒する演奏。2曲目は一転してスローテンポで展開する白鳥の湖、後半のベースソロからのオープンスイングへの展開は気持ちいい。3曲目のショパンのプレリュードはドラムのブラシワークが曲の展開を効果的に盛り上げる。4曲目のバッハはベースのサポートが効果的で情緒的で魅力ある楽曲に仕上がっている。5曲目はタイトル曲の月光ソナタ。重厚な展開がベートーベンらしさを効果的に表現している、、、等々全楽曲がそれぞれの特徴を捉え的確にアレンジされ素晴らしいアルバムに仕上がっている。録音はクラシック楽曲にぴったりの透明感のある鮮度の高いピアノ。粒立ち良く、スピード感あるドラム。通奏低音のように楽曲をしっかり支えるベースと、ピアノトリオ録音として最高の音質を実現している。演奏、録音共に最上のアルバムでとても楽しめる。
評:JAS