掲載日:2018/01/05
日本オーディオ協会会長より平成30年新年のご挨拶
一般社団法人日本オーディオ協会
会長 校條 亮治
「技術は自然を超えられるか!」
皆さま明けましておめでとうございます。これまで何回この年明けを見てきたことでしょうか。その時間も、場面も同じ日は1回として無かったはずですし、これからも起こり得ません。それが時間であり自然であるからです。さて今年は一体どんな年になるのでしょうか。
今、世界の最先端ではこれから起きることすら予測が出来る時代が来たと言ってはばかりません。それはビッグデータ、IOT、AIに代表される時代であると言えます。確かに、デジタル技術や関連技術の進化により、私たちを取り巻く状況は予想ができない早いスピードで変化をしています。技術が生活慣習を変え、ビジネスモデルや働き方をも大きく変えるであろうことは容易に察しがつきます。私達人間にとって労苦が伴う仕事、危険や困難な仕事をロボットなどに置き変え生産性を上げることがこれまでの有り様でした。これからは、そればかりか私達人間が考えるべきこと、創造することすら置き変わる可能性を示唆しています。
報道によれば米国マッキンゼー社は2025年までに世界で1億人以上のホワイトカラーの仕事を自動化ソフトと言われる一種のロボットが代替すると予測しています。
ビッグデータの分析活用によっては人間が考えるよりはるかに的確に次なる行動を予測してくれるかもしれません。個人的には受け入れ難いのですがクローン人間を生み出す事すら、いとわなくなってしまうのでしょうか。そして「感性価値」の代表でもある作曲や作詞などもいとも簡単にヒット曲を提供してくれるかもしれません。
オーディオ業界も次世代オーディオとして「ハイレゾ・オーディオ」を導入して早3年が過ぎ、お陰様でスタンダードになりました。しかし、理念である「録音と再生のあくなき追求」はまだ道半ばと言わざるを得ません。いや逆に「感性価値」は劣化しているかもしれません。私は不確実性があってこそ「感性価値」は磨かれるのではないかと思います。やはり越えられない壁と超えてはいけない倫理と理念があってこそ「夢と感動」があるのではと思う年頭です。今年も「夢と感動」に向かって臨みたいと思います。