掲載日:2012/08/22
前会長 鹿井信雄氏を偲んで
故 鹿井 信雄さんを偲んで
前会長(現顧問)の鹿井信雄さんが、2012年8月3日、逝去されました。一昨年、不幸にも病に倒られましたが、復帰に向け順調に回復されているとの報でしたので、ただ驚きと残念でなりません。鹿井さんとのお付き合いは僅か5年程度ですが、私のような学識もない門外漢に後事を託し、ご当人も気が気ではなかったと思います。縁あって5年前に協会に携わることになり、お付き合いを頂くことになりました。僭越ながら私の鹿井感を申し上げれば、誠に懐が深く、また幅の広い方であったと思います。所属されたソニー株式会社での輝かしい経歴が物語っているように「日本初のトランジスタラジオの開発」に携わり、一方でCDや8ミリビデオなどを主力ビジネスに育て上げられた手腕は、優秀な技術者のみならず、企業人として、また経営者として卓越した方であったといえます。開発からサービス事業まで誠に幅広くトップを担うなど八面六臂の活躍であったと聞いております。ソニー株式会社では代表取締役副社長を、アイワ株式会社では代表取締役会長を歴任されたことは当然であったといえます。
一方、日本オーディオ協会会長は2002年から08年まで6年間にわたり務められました。 この時期の国内オーディ業界は極めて難しい時代であり、デジタル化、小型化の急速な進展により、生活スタイルと価値観が一変した時代です。そんな中で現在を予見するが如く、第三世代オーディオを強く認識されていました。しかし、その先見性は、国内企業では具現化されず、忸怩たる思いであったと思います。常に先を見るという点では、技術者にめずらしく「日本ランチェスター協会」という戦略・マーケティングの本山の役員を務められたことでも明らかです。もう少し早くお付き合いを頂いていたならば、ご一緒に改革のお手伝いが出来たと思うところです。思いは尽きません。鹿井さん天国でゆっくりと好きな音楽を楽しんでください。安らかなご冥福をお祈り致します。
2012年8月22日
一般社団法人 日本オーディオ協会
会 長 校條 亮治