- JASホーム
- JASジャーナル
- JASジャーナル2025年冬号
- 個人会員に聞く!第8回 上野啓太氏
JASジャーナル目次
2025winter
個人会員に聞く!
第8回 上野啓太氏
インタビュアー 末永信一(専務理事)
今回の「個人会員に聞く!」は、現時点の最年少個人会員であり、現役大学生でもある上野啓太さんにインタビューをさせていただきました。上野さんは、大学に入学するまで、主にアメリカや台湾などで生活されており、日本の大学に進学するための帰国にあたり、オーディオのコミュニティに参加したいと希望して、オーディオ協会に入会されました。
以下、日頃呼んでいるように、「上野くん」と書かせていただきますが、入会時の上野くんは18歳。最初はこちらもそんな若い人とどう接したらいいのか、ちょっとあたふたしてしまいましたが、大人たちに可愛がられる性格の良さや行動力を持ち合わせており、むしろ上野くんを取り囲むオーディオコミュニティが形成されつつあると言っても過言ではないので、いつもは割とベテランの方々にお話をお聞きしているこのコーナーですが、若い個人会員である上野くんを紹介したいと思い、今回のインタビューとなりました。
平日は、学校やインターンでなかなか時間が取れないということで、日曜日に鎌倉を散歩しながらインタビューを行いました。
イントロダクション
末永)先日は、音の日のイベントに来てくれて、ありがとう!
上野)授業が終わってから向かったので、遅くなってすみません。
末永)授業は大事だし、そんなこと気にしなくていいんだよ。楽しめた?
上野)懇親会のパーティーでは、いろんな人とお話しができて楽しかったです。
末永)それは良かった。君はたくさんの人たちに可愛がられて羨ましいね。大人たちばかりの集まりだけど、少しは慣れたかな?
上野)はい、もう3回目ですからね。それに最近は若い人がとても増えたように思いますし、末永さんがソニーの方々を紹介してくれたお陰で、相手をしてくださる人がたくさんいますから、とてもありがたいです。
末永)いつも礼儀正しいね!だから、ソニーのメンバーだけでなく、いろんな人たちから、上野くん上野くんって話を聞くよ!
上野)そんなことないでしょ~。
末永)いやいや、君は人気者だって!
上野)それはないです(笑)
末永)小川会長もよく、上野くんが…って、話をされるし。
上野)そうなんですか、光栄です。
末永)まあ、みんなからしたら、若い人という物珍しさもあると思うけど、君はこの界隈の期待の星だから、なんでも思ったことを、遠慮なく言ってね!
上野)そうですか、考えておきます。
末永)ありがとうね!
鎌倉を散歩
末永)鎌倉には来ること、あるの?
上野)そうですね、カメラも好きなので、この前、撮影に来たばかりです。
末永)そっか。映える(ばえる)スポットも多いから、いいよね!
上野)ところで、どうして鎌倉にはお寺が多いんですか?
末永)いくつか理由があると思うのだけど、鎌倉時代…あ、鎌倉時代って分かる?
上野)はい、分かります。鎌倉に政治の中心があった時代ですよね。
末永)素晴らしい!アメリカにいた時に、日本の歴史を勉強する機会があったの?
上野)今まさに、大学の教養科目で勉強しているんですが、あまり得意じゃないです(笑)
末永)この辺をうろうろして、これは何だろう?と調べたりすると、歴史も楽しくなるよ。
上野)じゃ、またいろいろと連れていってください。
末永)もちろん!それで、その鎌倉時代にはたくさんの権力争いがあって、明日の命が保証されていないような時代だったので、救いが求められたわけね。分かるかな?
上野)分かります。
末永)だから、庶民には念仏を唱えることで極楽に行けるというような信仰が流行ったり、一方で武士はストイックな生活が求められたので、禅宗という厳しい修行をする信仰が流行ったりしたんだよね。
上野)質素な食事で生活するのですよね。
末永)良く分かってるねぇ!
上野)習った気がします。
末永)それと昔は争いが起きると敵の一族をみんな殺しちゃったから、怨念が出てくるんじゃないかと怖がったので、屋敷の跡にお寺を建てたわけよ。
上野)そういう感じなんですか!
末永)ちょっと怖い話だけど、そういうお寺がたくさんあるわけ。ただ、江戸時代くらいになると、鎌倉は観光地になっていったから、そんなドロドロした雰囲気はだんだんと無くなったんだよね。京都の華やかな文化に対して、鎌倉は武士の質素な文化だから、建物にも色が少ないよね。そういうところが特徴的。
上野)なるほど、末永さんは詳しいんですね。
末永)鎌倉検定の勉強をしたからね(苦笑)
上野)へぇ、すごいですね。
末永)ま、これから世界を股にかける上野くんには、ぜひ日本の文化のことをいろいろ知っておいてもらいたいな。
上野)ここの竹林の中は、空気が違って、すごく心が落ち着きますね!
末永)ちゃんと日本人が大事にしてきたものが分かるんだね!
上野)なんとなくそう思っただけです。
末永)きっと、ここの音の聴こえ方はいいかもね(笑)
上野)そうかもしれませんねぇ(笑)
入会した頃の話
末永)今日の散歩のゴールである浄明寺に着いたので、ここの茶室でお話を聞かせてね。浄明寺は鎌倉五山の5番目のお寺。建長寺に始まる5つのお寺を五山と言うんだけど、五山みたいに名前を連ねると、今風に言えば、コンプリートしたくなるでしょ。全部回りたくなるじゃない。すると数日間、鎌倉に滞在することになるからお金をたくさん落としてくれる・・・という昔の人が考えた戦略なんだよね。他にも鎌倉十橋とか鎌倉十井なんてものもあるの。
上野)へー、そんなマーケティングみたいなことを考えてたんですね。
末永)入会してくれたのは、2022年の9月だったから、もう2年以上経ったんだね。ところで、前から聞こうと思っていたんだけど、アメリカに住んでいたのに、よくオーディオ協会を探し当てたね??
上野)オーディオのコミュニティを探していたら、日本オーディオ協会が出てきて、ホームページに個人会員というものがあり、知識のある専門家たちと意見交換ができると書いてあったので、あまり考えもせずに連絡を取ってみました。
末永)当時、入会申請書に年齢や生年月日を書く欄が無かったんだけど、いつもなら50代以上の人が申請してくるのが普通なので、入会の説明をするために上野くんに協会に来てもらったら、あれ?若い人が来た…ということで、この子が申請してきた人じゃなくて、あとでお父さんが来るのかな??とか、思ったんだ(笑)
上野)ええ、そうでした。なんか、少し困った顔をされていたのを覚えています(笑)
末永)よく話を聞いてみたら、ああ、この子は帰国するにあたって友達を作りたかったんだなぁ~と思ったんだけど、上野くんの友達になってくれそうな、そんな若い個人会員がいないので、これは参ったなぁ…と頭を抱えたんだよね。
上野)そんなことをおっしゃってましたね。それで私で良ければ、友達になるけど、と(笑)
末永)それ以外に出てくる言葉が無かったんだよねぇ~。3倍以上も歳上だけどってね(笑)
上野)でも、入会して良かったです。
末永)ありがとうね!その時に高価なウォークマンやイヤホンをカバンから取り出して見せてくれて、それらを説明する目が輝いていたから、根っからオーディオが好きなんだな!と思ったけど、やっぱり、入会したらオーディオ好きな友達がたくさんできるものと思っていたのかな?
上野)まあ、そうですね。でも、専門家たちと意見交換ができるということが魅力だったから、必ずしも友達作りが目的でもありませんでした。
末永)それから2か月くらいした時かな、中野サンプラザのヘッドフォン祭に行きたいのだけど、一緒に行ってもらえませんか?と連絡をくれて。それで、じゃあ行きましょう!って話になったんだよね。
上野)行きましたね!
末永)上野くんに、ウォークマンの設計者に会わせてあげたら喜ぶかな?と思って、会場に呼び出しておいたら、案の定すごく喜んでくれたんだよなぁ。
上野)本当に嬉しかったです。サインもしてもらいました!
末永)あの時、よくサインペンなんか持ってたね??
上野)イベントに行けば、いつかそういう人たちに出会えるんじゃないかと、持ち歩いてました。
末永)そうなのか、やっぱり君はすごいな!
愛機のウォークマンにサインをもらう @秋のヘッドフォン祭2022
上野)他にもメディアで見たことのある方々を次々と紹介していただいて、末永さんってすごい人だなぁと思いました。
末永)まぁ、長いこと生きているからねぇ(笑)
上野)そういうことでもないと思いますが…。
末永)あれからソニーのメンバーも、みんな上野くんを可愛がってくれるようになったから、良かったなぁと思ったよ。
上野)ほんと、入会した甲斐がありました。ますますソニーファンになりました。
末永)そんな、私がソニーのOBだからって、気遣わなくてもいいんだよ。
上野)いえいえ、気遣っているんじゃなくて、本当に好きなブランドなので。
末永)そうか、それは良かった。
オーディオとの出会い
末永)このインタビューでは、小さい頃にどんな音楽を聴いていたか?とか、オーディオとの出会い、自分で初めて買ったものとか、そういう思い出を聞いたりしているんだけど、教えてくれる?
上野)小さい頃ですか…。親がライブ物のDVDをよく観ていたので、それを一緒に観ていたとか、クルマのラジオから、いつも音楽が聴こえていたってことですかね。
末永)おおお、物心ついた頃には、もうDVDがあったのか??(驚)
上野)ええ、ありました。
末永)そうか、今20歳というと、そうなるのかぁ。Blu-rayで育ちましたと言われても不思議じゃない歳なのね。
上野)ええ、Blu-rayも家にありました。
末永)そうか、やっぱり若いんだなぁ…。そういう若い上野くんは、どんな音楽を聴いて育ったの?
上野)山下達郎や平井堅なんかが好きでした。山口百恵もよく聴きました。
末永)親御さんの影響が大きいわけね。
上野)あと、おじいちゃん、おばあちゃんがクラシック音楽好きでよく聴いていたので、大好きってほどではないですが、聴いて気持ち良さを感じていました。
末永)いい環境に育ったんだね。もう少し大きくなって、自分で欲しいと思ったオーディオ製品とかある?
上野)10歳くらいですが、携帯をまだ持たせてもらえなくて、それでiPhoneみたいな画面のiPod touchが欲しくて、買ってもらいました。
末永)これで自分の好きな音楽を手元に持てるようになったんだね!
上野)そうですね。その後、コンポも買ってもらって、CDを買い始めましたね。その頃は古臭いデザインのものは嫌で、(音じゃなくて)見た目で選んでました(笑)
末永)気に入っていた点は?
上野)Bluetoothが使えるのが良かったです。
末永)ああ、なるほどね。最初に買ったCDとか、覚えている?
上野)サム・スミスの『イン・ザ・ロンリー・アワー』です。
末永)グラミー賞で話題になっていたアルバムだね。どうやって好きな音楽を見つけるのかって、私の時代とは違うと思うのだけど、最近の人はどうやって知るものなの?
サム・スミス『イン・ザ・ロンリー・アワー』(ユニバーサルミュージック)
上野)友達の間で流行っているとか、SpotifyのTOP50を聴くとか、ラジオとかですかね。あと、家にたくさんCDがあったので、それも聴いていました。
末永)そうなんだね。私が若い頃はラジオから新しい音楽を知るって定番だったけど、上野くん世代でもラジオを聴くんだね!
オーディオへの興味が高まる
末永)ところで、日本の中学生はゲームにハマる子が多いんだけど、そっちには行かなかったの?
上野)友達がみんなゲーム機を持っていたので、やっぱり欲しくて欲しくて、ようやくPS4を買ってもらいました。ただゲームで遊ぶのは1日30分にしなさい!って言われていたのですが、「本を読みながら音楽を聴くから!」と言うと、それは許してくれたので、興味がオーディオ製品のほうに傾いて行きました。
末永)私は「ラジオ講座を聞いて勉強するから!」と言ってラジカセを買ってもらったけど、勉強なんかしないでラジオから流れる音楽ばかり聴いてたけどね(笑)
上野)僕も本なんか読んでないです(笑)
末永)みんなそうやって世渡りを覚えるんだな!
上野)お年玉で「MDR-XB450」というヘッドホンを買って、それからソニー製品を買うようになりました。
末永)低音重視のモデルだったよね。色は赤?
上野)赤が好きなんです。音が迫ってくる感じが好みでした。
末永)ほお~。
上野)ようやく携帯を持てるようになった頃に、ハイレゾに興味を持って、「Xperia XZ」と「h.ear on」を買ったんです。
末永)おおお、懐かしいね!h.earシリーズはカラバリが特長だったんだよね。
上野)金色のウォークマンなんかも話題になっていた頃だと思います。
末永)2016~2017年頃だね。
上野)DSEE(*)なんかも面白いなぁと思っていました。
末永)あ、そお。本当にソニーファンだったんだね。
*DSEE ソニーが開発した高音域の補完および微小音の再現技術
上野)アマゾンのセールで、ハイレゾ対応ヘッドホンの「MDR-1A」が売られていたので、これも買いました。
末永)ハイレゾと出会ってどうだった?良かった??
上野)リアルに聴けると言うんですかね、それが魅力でした。今までより、いい音で聴けてると思うとハッピーでしたね。
末永)そうか、それはいいね!でもまだその頃、中学生くらいなんだよね?
上野)そうですね。
末永)ちょっと思い出したことがあって、h.earシリーズが発売された頃なんだけど、高校に入学する子供を持つお母さんから、「子供が高校入学のお祝いにハイレゾウォークマンを買ってくれと言うんだけど、贅沢ですよね??」って相談されたことがあってさ。まあ贅沢かどうかを言える立場でもないから、今度貸してあげるから自分でハイレゾを聴いて判断してみたら?ということがあったの。
上野)それで、どうなりました?
末永)そしたら、これはいい音だ!って、その人がハイレゾを欲しがっちゃってさ。笑顔になってたのを見て、女性はいい音を聴くと、美味しいものを食べた時のような笑顔になるんだなぁと気が付いたね!
上野)そうかもしれませんね。
末永)男は何故かしかめ面になるんだけどね(笑)
上野)確かに。
末永)それからは「ハイレゾ布教活動」と称して、飲み会にウォークマンとMDR-1Aを持参して、飲み友達たちに聴かせてた時期があったんだよ(笑)
上野)まさにハイレゾの伝道師ですね(笑)
最近の興味
末永)ところで、初めて会って話をした時に、「もし仮に将来ビジネスで一発当てて、好きなだけお金が使えるようになったとしたら、どんなオーディオ製品を買いたいの?」って聞いたら、JBLの「Paragon」だって答えてたよね。
上野)言いましたね。
末永)さすが、アメリカでは大きな家に住んでたんだろうなぁと思ったよ。日本でParagonを持つなら、家から建てなきゃね!って話をしたよね。
上野)日本の家は小さいですからね。
末永)で、Paragon計画は、その後どう??
上野)今欲しいものは、ちょっと違います。
末永)もっとすごいのを見つけちゃった?
上野)いや、もうちょっと現実的な…。
末永)そんなまだ若いんだから、現実なんて考えなくてもいいんじゃないの?(笑)
上野)現実的というか、ヘッドホンユーザーである僕らからしたら、ちゃんとしたアンプやスピーカーに憧れるんです。
末永)ちゃんとした?
上野)ちゃんとしたというのは、据え置きで、ケーブルもしっかりしたものを使ったり、インシュレーターを置いたりして聴くような世界ですね。
末永)いわゆるオーソドックスなピュアオーディオね。
上野)その辺りで、いいなぁと憧れているのは、TADとか、FOCALとか、KEFとかですね。
末永)なるほど。
上野)特にKEFの音が好きですね。ちょっとアグレッシブかもしれないけど。
末永)OTOTENにKEFさんが出展されていたんだけど、ブースに行った?
上野)はい、行きました。良かったです!
末永)若い人に人気なブランドなんだよね。
上野)そうかもしれない。
末永)デザインもいいよね。
上野)いいですね!
末永)じゃ、就職したら、まずはKEFのスピーカーを買うために頑張るって感じかな?
上野)はい、頑張ります!
末永)せっかくなら、Paragonまで頑張って欲しいなぁ。私にはそんな野心の欠片もなかったからなぁ(笑)
上野)そう言えば、この前、台北に行かれてましたよね。
末永)台北のオーディオショーの視察に行ったの。
上野)あの円山大飯店の近くに住んでいたんです。
末永)あ、そう。じゃあ、あのオーディオショーにも行ったことあるの?
上野)いえ、まだ子供だったから行けなかったです。
末永)そうなんだ、じゃあ大人になったことだし、これからいっぱい楽しいことがあるね!今度、台北のオーディオショーにも行くといいよ。
上野)はい、台北には友達も多いので、ぜひ行きたいです。
学生生活のこと
末永)大学は楽しい?
上野)はい、楽しいです。
末永)前に、ポッドキャストのサークルを作ったって言ってたけど、続いてる?
上野)はい、やってます。
末永)ポッドキャストみたいなものは、なかなか一人で全部はできないけれど、いろんな特技を持った人をまとめるのって、これまた大変だよね。
上野)その辺はなんとかなっています。
末永)この前のOTOTENで私たちオーディオ協会もポッドキャストに挑戦しようと、出展社の皆さんに出演してもらったり、個人会員に協力してもらって会場内のトピックスなんかをしゃべってもらったりしたんだけど、上野くんも何度も登場してくれたんだよね。
上野)なぜかそうなっちゃいましたね(笑)
末永)すごく良かったと思うよ。ポッドキャストは若い人にも人気だから、そういうサークル活動も頑張って欲しいなぁ。
上野)ありがとうございます。でも、最近は授業も多いし、インターンも週3日入っているので、なかなか時間がなくて…。
末永)そうか、それはなかなか大変だね。頑張りすぎて体を壊さないようにね!
上野)はい、ありがとうございます。
末永)インターンは何をやっているの?
上野)アパレルでプレスをしています。
末永)アイロンを掛けてるの??
上野)いや、PRですね。
末永)ああ、プレスリリースのプレスね(笑)
上野)はい、そっちです(笑)
末永)あ、ごめんね。それはなかなか大変そうだけど、楽しそうな仕事だね。
上野)好きなブランドなので、モチベーションも高いです。
末永)おお、それは素晴らしい。
上野)社員さんたちも優しいし、イメージしていたよりも良かったです。
末永)それはいいね。若い社員さんが多い?
上野)そうですね。
末永)私も大学の時にアルバイトしていた会社の社員さんがみんな若くて、すごく可愛がっていただいたし、その頃のバイト仲間も仲が良かったから、今でもお付き合いがあってね。そういういい思い出になるといいね。
若い人たちにアプローチするには
末永)上野くんには、最年少個人会員として色んなアドバイスをしていただきたいのです。
上野)はい、なんでもやらせてください。
末永)私たちオーディオ協会が、OTOTENや音の日を始め、どんどん若い人たちにアプローチして、改善できることに着手してきたんだけど、もっともっと若い人たちにオーディオを好きになってもらって、コミュニティを大きくしたり、新しい文化を作ってもらえるようにしたいんだよね。どうしたらいいと思う?
上野)インスタ(Instagram)をやりましょう。
末永)そう、君らくらいの人たちのSNSはインスタなんだよね。
上野)ですね。
末永)ただ、写真、まあ動画も載せられるけど、オーディオの楽しさを伝えていこうというのは、食べ物や景色のような、映える写真という感覚が想像つかなくて。
上野)なるほど、ちょっと考えてみます。
末永)うん、おじさんたちには分からない感性がきっとあるから、その辺をどんどん教えて!頼りにしています。
最後に
2年前、偶然にもオーディオ協会に飛び込んできてくれた上野くん。最初の頃は、一緒に連れ立っていると私の息子かと誤解されることも多かったのですが(笑)、最近は十分に独り立ちして、いろんな大人たちとオーディオ談義を楽しんでいる姿を目にします。
これまでも話をする機会はたくさんあったものの、どうしてもオーディオ大好きとのイメージを大きく持ちすぎていたかもしれませんが、これだけ集中して話をしてみると、やっぱり普通の若者なんだなぁと思うところがたくさんあり、今は自分で買える範囲のヘッドホンやイヤホンにお金を使いながら、据え置きのオーディオを少し遠目に、憧れを持って眺めている彼の素直な目を理解したような気がします。
オーディオの楽しさを世代を超えて広めていくためにも、上野くんのような若者たちとしっかり会話し、若い人たちの感性を理解し、今後の協会の活動を考えていきたいと思う次第です。上野くんを中心にどんどんオーディオ若者コミュニティが大きくなることを期待しています。
個人会員プロフィール
- 上野啓太(うえの けいた)
2004年、横浜市生まれ
現在、上智大学国際教養学部に在学中
趣味はオーディオ、カメラ、ランニング
筆者プロフィール
- 末永信一(すえなが しんいち)
1960年、福岡市生まれ
2019年、ソニー株式会社退社
2020年6月より、日本オーディオ協会専務理事に就任