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2024autumn
パリ五輪に参加して
日本オーディオ協会 会長 小川理子
夏の暑い期間がどんどん長くなって、9月になっても真夏日があり、10月になっても秋を感じられずに日傘をさしている自分がいます。本当に地球が悲鳴をあげているようです。異常気象を背景に、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーという言葉が毎日のように飛び交っておりますが、オーディオ製品はもともと長く大切に使うものですので、現在のようにSDGsを気にする消費者にとっては、どのような心理が働くのか、興味のあるところです。
さて、この暑い夏8月に、私はパリ五輪に行ってまいりました。ブレイキン(ブレイクダンス)が正式競技となり、その競技場で使われるDJターンテーブルにテクニクスが公式認定され、そのアクティベーション活動の視察と効果を確認することが目的でした。
ご存じのように、ブレイキンを重大要素とするヒップホップカルチャーは1970年代にニューヨークで誕生しました。その原点にDJターンテーブルが存在し、今回のパリ万博では、MC、ブレイキン、DJ、グラフィティの4大要素を活用して、コンコルド広場に特設ステージも設置しました。コンコルド広場は街の真ん中にあり、そこにはブレイキンのほかに、スケートボードやバイクなどのアーバンスポーツ競技が集められており、五輪の中でも非常に華やかで若々しいエリアでした。ステージでは、DJがプレイして音楽が鳴り出すと、自然と人々が集まりだし、身体をスウィングさせて踊りだし、あっという間に黒山の人だかりとなります。
私自身もダンスが大好きで、1980年代のディスコブームにはよく踊りに行きました。音楽とダンスは切っても切れない人間の原始的な心身欲求であり、それゆえに普遍的です。私がジャズを演奏するときも、リズムを感じ、スウィングを感じ、グルーブを感じる、そんな時が最高に幸せです。日本で開発されたDJターンテーブルというオーディオ製品が、アメリカのアーティストと出会って、ストリート文化を生みだし、それが世界中で愛され続けているという、このことを日本人として、そしてオーディオ業界に身をおく一人として、とても誇りに思います。これからもこの文化を世界文化として進展させていくことが使命だとも思っています
この原稿を書いている数日前、2025年大阪・関西万博は、開幕半年前を迎えました。2025年4月13日から半年間、大阪湾に突き出た「夢洲(ゆめしま)」という会場で開催されます。世界から160を超える国と地域が公式に参加し、「いのちかがやく未来社会のデザイン」というテーマで、パビリオンが出展され、様々な催事が行われ、未来社会を想像できる、あるいは未来社会を創造する様々な技術やソリューション、アート、デザインを体験することができる、貴重な国家行事です。私はその国際博覧会協会の理事をしておりますが、日本の素晴らしさを世界の方々に感じていただくだけでなく、冒頭申し上げたようなSDGsに関わる世界規模の社会課題を解決するために、世界中の多様な人々が共創していこうという、万博の新しい役割を担っています。
このジャーナルをお読みになっておられる皆様方も、この貴重な国家行事にぜひ参加をしていただき、いのちかがやく未来社会とは?という問いかけを自身にしていただき、この万博を機会に、お一人お一人の思いや力を、より良い社会創造のために向けていただければ、本当に嬉しく思います。
日本オーディオ協会の次の大きなイベントは12月の「音の日」です。こちらもご期待くださいませ。