2024spring

個人会員に聞く!
第4回 新個人会員座談会

インタビュアー 末永信一(専務理事)

個人会員に聞く!シリーズ第4弾は、最近、個人会員になられました5名の方々をお招きしての座談会の様子をお伝えします。

日本オーディオ協会では、過去に座談会というものが時々開かれていたことを、JASジャーナルに見ることができます。2004年の正月に法人会員の若手社員が集って「オーディオおよびオーディオ協会に望むもの」というテーマに座談会が行われ、その時は、協会が発足して50年が過ぎたということで、これからのオーディオに対する思いや夢が語り合われました。

それからちょうど20年が経った2024年、今回は、比較的若い個人会員の皆様にお集まりいただきまして、オーディオに対する思いや希望、協会への期待などを語っていただきました。

座談会に参加された個人会員の皆様(順不同)
・有路昇 (ありじ のぼる)さん
・居藤悠馬(いとう ゆうま)さん
・星遼一 (ほし りょういち)さん
・吉野純 (よしの じゅん)さん
・秋山真 (あきやま まこと)さん[協会職員]

司会進行:末永専務理事(も個人会員です!)

自己紹介から盛り上がりました!

末永)今日はお忙しい中、またお足元の悪い中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。前に皆さんとお会いした機会はバラバラですが、久しぶりにお目に掛かれて、大変うれしく思います。

いきなりですが、お互いにご存じない方もいらっしゃると思いますので、順番に自己紹介をお願いします。日頃、どんな仕事をされているのかとか、協会と関わりのある方はその辺の紹介もお願いします。好きな音楽のジャンルなんかも軽く触れていただければと思います。

では、星さんからお願いします。

星)星遼一と申します。仕事は車関係です。今は業界とはまったく関係ないのですが、その昔、ちょっと中古オーディオのショップで働いていたことがあります。年齢は41歳です。夜な夜な秋山さんたちとX(旧Twitter)のスペースで趣味のオーディオについて語り合っていまして、OTOTEN2023の中でリクエスト大会というイベントが開催されることを知り参加したところ、日頃聴いていたアニソンやらゲームミュージックやらを、オーディオ展示会で聞かせてもらえるなんて、すごいなぁ、面白いなぁ!高級オーディオで聴くとここまで音が違うものか!と刺激を受けまして、私もそんな輪に入れたら楽しいだろうなと思って、個人会員になりたいと連絡を取った次第です。


星遼一さん

末永)OTOTEN2023が終わって、ほんの数日後に連絡を頂きましたよね。

秋山)私が協会の職員じゃなくて、個人会員だと勘違いされていて、個人会員がこういう企画をして遊んでいるんだと思ったらしいんですよ(笑)

全員)(笑)

星)実はそうなんです、ええ(笑)

末永)今までに、そんな楽しみを求めて個人会員になりたいと言ってきた人は珍しかったから、協会内に衝撃が走ったんです(笑)

星)その後も、Xで個人会員に申し込みしました!って投稿したら、俺も俺も!と個人会員になりたい人がどんどん出てきたんです。

末永)いや~、OTOTENって、それなりに大イベントじゃないですか。だから終わったらしばらくボーっとしていたいのに、毎日のように個人会員に興味があるので、入会するにはどうしたらいいのか教えてください!って問合せが絶えなかったんで、何が起きているんだろうと驚きました。

星)まだ自分もどんな活動するのか分かっていないのに、みんなからどんなことやれるの?って聞かれたりして、いや、まずは個人会員になると意見させてもらえるらしいですよ~って、話が盛り上がってしまって…。

秋山)私が個人会員なんだとみんなが誤解しているもんだから、末永さんから、「秋山くんもちゃんと個人会員になりなさいよ」と言われて、会費を給料から天引きされるようになっちゃったんですよ(泣)。だから、もうこの際、個人会員を増やした方が楽しくなるかもなと思って、オーディオ仲間に声を掛けたら、こうなっちゃいました。

末永)個人会員の入会も、法人会員と同様に理事会で承認を取ることになっているので、どんな人か?とか入会目的を紹介する、そういう審議をする時間があるのですが、今までどんなに多くても1回で2名とか、そんなものだったのに、いきなり10人を超える名前がスクリーンに映し出されたもので、理事の皆さんから、お~~~!というどよめきが上がりまして、どうなっちゃったの??と(笑)。皆さん興味津々に目が皿のようになっていました。いや~ホント、星さんの行動力には感謝しかなく、うれしい限りです。

星)ありがとうございます。

末永)普段、どんな音楽を聴かれますか?

星)聴く音楽は、オールジャンルで、アニソンも聴きますし、昭和歌謡、ジャズ、クラッシック、なんでもですね。

末永)ありがとうございます。では、次は有路さん、お願いします。

有路)有路昇と申します。年齢は47歳です。フリーライターで編集の手伝いなんかもしております。秋山くんとは古いオーディオ仲間で、その縁もあって、JASジャーナルの取材と執筆も何度かさせていただいております。


有路昇さん

末永)そうそう、先ほど話題になったリクエスト大会も、有路さんに参加レポートを書いてもらったんですよね。大変お世話になっております。

有路)いえいえ、こちらこそ。そんな感じでオーディオ協会に絡ませていただいて、仕事としても楽しいので、秋山くんから個人会員の誘いが来た時は、何をするのかも分からずに、「なる!」って返事をしてしまいました(笑)

末永)ありがとうございます。音楽はどんなものを聴かれるんですか?

有路)私はシンガーソングライターものが多くて、いわゆる名盤とかを漁って、ブラックミュージックなんかも聴いて。ただ、ジャズクラはそんなに聴かないというか、自分からは聴かないですかね。

末永)はい、ありがとうございます。では、居藤さん、お願いします。

居藤)居藤悠馬と申します。仕事は半導体関係で、オーディオ用のチップを作っています。オーディオ協会との接点は、秋山さんに依頼されて、昨年のリクエスト大会を手伝うことになりまして、DJのようなことをやらせてもらったんですが、その後に個人会員に誘われまして、光栄なことに今日は座談会にまで参加させていただいております。年齢は30歳です。


居藤悠馬さん

末永)お~、若いのですね!

居藤)まだ大学院の学生だった頃に、オーディオのオフ会で秋山さんと出会いまして…。

秋山)あれ~、あの時、まだ学生だったんだっけ?

居藤)そうです。あれ以来、ずっとオーディオ仲間をさせていただいています。オーディオ自体は立命館大学の音響工学研究会というサークルで、スピーカーを自作したりしておりました。

末永)立命館大学と言えば、何年か前に、学生さんたちにスピーカー製作記をJASジャーナルに書いてもらいましたね。

居藤)はい、それは4学年下くらいの後輩たちですね。

末永)そうでしたか。

居藤)オーディオについては、もっと色んな人に聴いて楽しんで欲しいなという思いがありまして、学生時代は学内イベントなんかをやっていたんですが、社会に出たら、あまりそういう機会が無くなってしまい、アニソンを普段よく聴くので、その音質なんかについて評論したものを同人誌に書いて、コミケに出して、布教活動をしたりしていました。

末永)いや~~、いいじゃないですか!その同人誌に書いている内容をJASジャーナルにも書いてくださいよ!

居藤)ひんしゅくを買うかもしれませんよ。

末永)いやいや、時代はそっちに向かっているんだから、ぜひ寄稿をお願いしますよ!

星)めちゃ面白そう!

秋山)初めて同人誌を見せてもらった時に、すごく面白くて、家も近所ってこともあって、遊びにおいでよ!って、仲良くなっていった感じだよね。

末永)ほおほお、そうなんだ。ありがとうございました。じゃあ吉野さん、お願いします。

吉野)吉野純と申します。私も秋山くんの古いオーディオ仲間で、仕事はフリーランスのグラフィックデザイナーをやっています。オーディオ協会のお仕事も、少し頂いておりまして…。

末永)いやいや、少しどころか、このJASジャーナルの装丁はもちろん、オーディオ協会のホームページのデザインをしてくれたのは、吉野さんなんですから!


吉野純さん

吉野)オーディオは30代になってから始めたので、20年ちょっとというところですが、細かくセッティングを詰めたり、入れ替えたりしながらけっこう楽しくやっていたんです。ところが、6年ほど前に難聴を患いまして、調整とか難しくなってしまったので、今は自分ではやらずに知り合いのところに行って聴かせてもらったりしています。

末永)音楽の傾向はどんな感じでしょうか?

吉野)ジャズとかロックが中心ですね。

末永)ちなみに、おいくつでいらっしゃるんですか?

吉野)55です。

秋山)え?55??

吉野)そうよ、もうちょっと優しくしてね!(笑)

末永)今日お集まりの方々の中では、私は吉野さんとのお付き合いが一番長いのですが、私がオーディオ協会の専務理事になった頃、オーディオ協会のホームページがまったくイケてなくて、インターネット黎明期のままかよ!?と思うくらいのものだったのですが、協会のブランディングをやり直したいので、まずはホームページを全面的にやりかえたい!と小川会長とよく話をしていて、そんな時に秋山くんから吉野さんを紹介されて、仕事の進め方とかも信頼おける人だなぁと感心して、ホームページだけでなく、いろいろなデザインに関してもご相談することになったんです。それこそ、協会職員の名刺も吉野さんのデザインです。

吉野)光栄です。

末永)ほんとお世話になっております。ホームページの製作の時は、あーでもないこーでもないと、まあ私のリクエストもさることながら、会長もアーティストの側面をお持ちの方なので、芸術的な理想が高いと言うか、大変だったんですけど、吉野さんがめげずにいろんな提案をしてくれて、私は世界一素敵なデザインのホームページが出来たと思っているんですけど、本当にいいものが出来ました。

吉野)ありがとうございます。

末永)とある別の協会でね、ホームページを改修されたそうで、自分たちでは結構イケてると思っていたのに、関係者に自慢していたら、何を言っているんだ!オーディオ協会のホームページを見てみろ!と一喝されて、見てみたら、ほんとスゴイ!って話になり、どんな人たちがこんなホームページを作ったんだろうか?と電話がかかってきましてね。その協会の方々が訪ねて来られたことがあったんですよ。

吉野)へ~、そんなことあったんですか!うれしいですね。

末永)そうなんです。業界団体の古臭いイメージとか、まったく取り払った素敵なデザインに仕上がったもので、オーディオ協会はどうなっちゃったんだろうか?といろんな協会からうらやましがられていますし、うちのホームページの変わりようを見て、自分のところのホームページをなんとかしたいんだけど、どこから手を付けたらいいんだろう?と悩んでいるという話もよく耳にします。

吉野)そうですか、ありがとうございます。

末永)こちらこそ、ありがとうございます。じゃあ秋山くん!

秋山)オーディオ協会の職員をやっております、秋山です。えー、本日は私のしつこい勧誘のせいで被害をこうむってしまった皆さんにお集まりいただきまして、誠に申し訳ございませんでした!(頭を下げる、46歳)

全員)(笑)

秋山)まあ、こうなっちゃったのも、事務局にオーディオのことを語り合える人が全然いなくてですね。吉野さんや有路くんとは共通言語があるから、すごく仕事がやりやすかったですし、リクエスト大会でも、居藤くんのようなオーディオが大好き人と一緒にイベントをすると、こんなに楽しいのか!って思いました。その雰囲気が小川会長にも伝わったと思うんですよね。会うたびに「今年もリクエスト大会やりなさい!」って、そればっかり言われているんです。

末永)頑張らないとね!OTOTENの名物企画にしましょうとおっしゃっているからね!

秋山)会長、3時間ずーっと居ましたもんね。


秋山真さん

末永)まさか会長が、ずっと中に居ると思わないから、一体どこに行ったんだろうかと探し回ったんだから(笑)。終わってから、楽しかったわぁ!ずっと居て飽きなかった!とおっしゃっていたからね。

秋山)リクエスト大会を企画したのも、ちゃんと理由があって、ポータブル系の展示会って、自分のミュージックプレーヤーにイヤホンやヘッドホンを繋いで自分の好きな曲で試聴しているわけじゃないですか。それに比べて、スピーカー系の展示会って、基本的には出展社側がデモ曲も決めている。仕方のない部分もあるんだけど、自分が普段聴いている曲が聴けないというのは、やっぱり問題だよなぁ、と。そこで、持ち込み音源を自由に聴ける時間を設けたらどうですか?と末永さんに相談したら、やってみよう!ということになって、お陰様で評判も良くて、何より自分のオーディオ仲間たちが喜んでくれた。ようやく協会の仕事も楽しいものだなあと思えるようになりました。

全員)(笑)

末永)まあ、ここ数年、コロナ禍で楽しいことが出来なかったからね。

秋山)その流れで、星さんが個人会員になってくれるって話が出て、さっきも話がありましたが、スペースで話をしたり、他の仲間にも声を掛けたりして、皆さんに個人会員になっていただいたという感じです。

末永)ありがとうございます。リクエスト大会はOTOTENだけではもったいないということで、オーディオ体感WGという活動がありまして、その中でも、やることになりました。ますます、このような楽しみ方が広がっていくことを願わんばかりです。


司会:末永信一 専務理事

OTOTENやリクエスト大会について

末永)さて、今日はいきなり集められて、何をしゃべればいいのか?というところもあろうかと思いますので、私の方から少しお題を提示しながら、皆さんに語ってもらおうと思いますが、基本的にはざっくばらんに、なんの遠慮もなく、皆さんに自由に語ってもらえれば、と思います。オーディオ協会としては、幅広い方々にオーディオの楽しさを知ってもらおうと、特にOTOTENに若い人たちの来場を促進するために、若い人たちの声を集めたりして、いろんな施策を展開しているので、この辺についてのコメントも頂けるとありがたいです。

あと、小川会長からは未来のオーディオについて話をしてもらって!という宿題をもらっておりますので、そんなお題がまわってくるかも?と構えておいてください(笑)。まずは今、話に出たOTOTENやリクエスト大会の感想をお聞きしたいと思います。

居藤)OTOTENだけでなく、オーディオの展示会はもっと肩肘を張らないフレンドリーな空気になって欲しいですよね。そうしたら、若い人たちも来てくれて、楽しんでくれると思います。そういう意味では、リクエスト大会は参加したみんなが主役になれる場として、とても楽しかったと思っています。

末永)主役になれる場って、いい表現ですね!

居藤)最初はみんな少し様子見をしていましたが、どの辺りからだったか、これが行けるんなら自分も行こう!的な感じで、すごく場が盛り上がっていきました。本当に楽しかったです。

末永)有路さんは、どうでしたか?

有路)自分たちが聴きたい音楽を聴かせてくれるというリクエスト大会は、本来の展示会の楽しみ方って、こういうことなんだろうな!と思いましたし、OTOTEN自体のイメージがすごく柔らかくなったように感じました。個人的にはオーディオをしばらく休止していたんですが、またちょっとやってみようかなという気にもなりましたからね。

末永)これまでのオーディオの展示会って、眉間に皺を寄せて真剣に聴き入る姿が典型的で、カジュアルに楽しく聴こう!という雰囲気がなかなか無かったですからね。若い人たちにとっては、その雰囲気が怖い!って映るわけですよ。

居藤)それ、分かります!オーディオを好きになるって、若いとか年配とか関係ないと思うので、もっと明るい雰囲気になっていって欲しいです。最近はSNSでも、下手なこと書き込むと変なおじさんに絡まれるし、怖いんですよ。

末永)せっかくこれからオーディオを楽しんでみようというたくさんの若い人たちが来てくれているのですから、しっかり楽しんで帰って欲しいんですよね。吉野さんはどうでしたか?

吉野)自分の好きな曲を高級オーディオで体験できるというメリットも大きいのですが、あの時にマスタリングエンジニアの吉良さんがゲストで参加されていて、普段触れることのない情報にタッチ出来たことも、良かったと思います。

末永)さすが深いですね~。普通の人はマスタリングという作業自体を知らないと思いますから、どうやって音楽が作られているのかを知るのも、楽しいかもしれませんね。

吉野)だから、一般のお客さんだけでなく、音楽制作の関係者なんかも参加してもらえるとうれしいです。

末永)ありがとうございます。この辺はイベントを多角的に捉えてスタッフの検討をしていきたいですね。星さんは先ほどかなり語られましたが、まだしゃべり足らないことありますか?

星)あそこで初めて、聴いたことのない音が聴けた感動は忘れられないし、皆さんがリクエストされた曲との出会いみたいなのも良かったし、そもそもあの部屋の自由な空気感が良かったですよ。

末永)ほおほお、そういう楽しみ方もありますね。ところで、企画した秋山くんとしてはどうですか?

秋山)企画していた時は、誰も来なかったらどうしよう?と心配で、野村ケンジさんや土方久明さんに相談して、時間稼ぎのための曲をたくさん準備してもらっていたんですよ。ところが蓋を開けてみたら、リクエスト待ちの大行列になっちゃって。嬉しい誤算でしたね。

末永)私は立場上、会場内のいろいろなところを見て回らなければならなかったので、リクエスト大会も時々覗きに行く感じでしたが、いつ行ってもたくさんの人が座っていらして、みんなで楽しそうに音楽を聴いておられて、若い人だけでなく、ご夫婦で参加されたと思われる方や年配の方もけっこう居らっしゃったので、本当に年代なんか関係なく楽しんでいただけたんだなぁと思いました。

秋山)今年もやりますから、皆さん来てくださいよ!

星)もちろん、行きますよ!今年は音源をちゃんと持って行きますから!

オーディオの魅力とは

末永)オーディオ協会には、いい音で音楽を聴くということについて、<オーディオ文化>という言葉があるのですが、そのオーディオ文化を広めていくことが創立以来、ずっと大事にされてきました。ハイレゾロゴも、いい音の証となるように基準が決められていて、ハイレゾロゴが掲げてある商品を買っていただくことで、いい音を聴く文化が自然と広められていくというものだったりします。

星)ハイレゾロゴ、めちゃくちゃ有名ですよね。

末永)ありがとうございます。それで、もっと一般の人たちにオーディオが好きになってもらえるように情報発信をしていきたいと思っているわけですが、これがなかなか難しくて、やることが定まらないので、今後、色々と個人会員の皆さんには助けてもらいたいのです。

吉野)音の日に参加させてもらって、学生さんの製作した作品とか聴かせてもらった時に、すごいなぁと思いました。こんなすごいコンテスト[ReC♪ST]をやっていること自体も、もっと世の中に知ってもらいたいですね。

末永)ありがとうございます。すごかったでしょ!

吉野)素直に驚きました。

末永)それで、ここからは、皆さんにとってのオーディオの魅力について語っていただきたいと思いますが、今度は有路さんからお話ししてもらおうかな。

有路)学生時代に、その当時流行っていたコンポを買ったんですが、だんだんそれでは物足らなくなってきて、24、5歳の頃には販売代理店がついていないケーブルなどを個人輸入するくらい、どっぷりハマっていました。機器やアクセサリーをグレードアップするたびに、今まで聴こえなかった音が聴こえたり、好きなミュージシャンの魅力がより伝わってきたりするのがうれしくて、それが私にとってのオーディオの魅力だと思いますが、ただ、これを人に伝えるって、なかなか難しいですよね。

末永)いわゆる沼にハマってしまったわけですね。吉野さんはいかがですか?

吉野)元々、映画が好きで、オーディオではなく映像をやっていました。ホームシアターブームの頃、雑誌を見るとオシャレなお宅はカッコいいスピーカーが置いてあるんですね。それに憧れて、あちこちショップを訪ねているうちに、凄い音に触れて、家でもこんな音が出せるなら自分も!とハマっていきました。

機器そのものも楽しいのですが、それをより良い音にするためにアクセサリー類に手を出すようになって、そういう使いこなしで、機器のポテンシャルを上げてあげることに無類の喜びを感じていましたね。一時期は“ケーブル魔神”なんて呼ばれるほどに(苦笑)。

有路)なつかしい!“ケーブル魔神”!!実は、吉野さんとは、吉野さんがお持ちのアクセサリーを、オークションサイトを通じて購入して、直接受け取りに行ってからの付き合いなんです。初めて会ったのに、すごく気さくに対応していただいて、その後も吉野さんからいろいろとオーディオ好きな方々を紹介してもらったからこそ、今こうしてこの座談会にも参加できているのだと思うと、いや~感慨深いです。

末永)へー、なるほどねぇ。これから吉野さんを“ケーブル魔神”と呼ばせていただきますかね(笑)。では星さんは、いかがですか?

星)実家の近くにジャズ喫茶ができまして、そこにあったALTECのスピーカーから聴こえた音が、まさに知らなかった音で、こんな世界があるんだなぁと驚きと感動を覚えまして、この体験がオーディオにハマったきっかけですね。それまでは車にお金を掛けていたんですが、それがオーディオに変わっちゃったって感じですね。

末永)いい音に何か刺激されて、こっちの世界に来ちゃったんですか?

星)若い時は横浜のクラブでDJをしたりして、もともと音楽が好きだったんですが、仕事が忙しくなったりして音楽を聴くのもしばらく遠のいていたんです。それがジャズ喫茶で音楽を聴いて、当時の感覚が呼び戻されて、オーディオイベントに通うようになりました。それが4~5年前です。なので、遅咲きですね。

末永)なるほど。居藤さんは?

居藤)高校生の時に音楽を作りたいなと思いまして、それでモニタースピーカーをお小遣い貯めて買って、スピーカーで音楽を聴く楽しみを知りました。ただ、その頃はオーディオの趣味というよりは音楽にハマっていた感じで。その後、先ほども言いましたが、大学の時にオーディオのサークルに入ったのですが、部室に置いてあったヤマハのセンモニ(NS-1000M)とサンスイのアンプで好きな音楽を聴いた時に、全然知らない音が鳴っていて感動したことで、自分でも本格的にオーディオをやってみようかとなったんです。

末永)やっぱり知らない音っていうのがキーなんですね。

居藤)それからサークルでスピーカーを作ったり、人に聴かせたりするわけですが、いい音に惹かれるというのは自分だけじゃなく、多くの人が共感してくれるんだなと思いました。知っている曲をしっかり聴く機会があれば、魅力に気が付いてもらえる趣味なのかな?と思っています。

今でも大学のサークルとのつながりがあるのですが、ここ数年、少しずつ部員が増えているそうです。でも、そういう子たちが行けるカジュアルなイベントは、どうしてもポータブル系の展示会になるので、それに匹敵するスピーカー系のイベントがあればいいのになぁと思っています。決してオーディオから人が離れているわけではないと思いますね。

末永)ありがとうございます。少し私のことを話しますと、就職した数年前にCDが発売されているんですが、新人研修の中でCDの仕組みを知って面白いなあと思って、すぐにCDプレーヤーに手を出したんですが、そうなったら、やっぱり良いスピーカーが欲しくなっちゃって。でもスピーカーを良くすると、今度はアンプがしょぼいんじゃないか?と思っちゃって、次はアンプを買ってみたりと、社会人の最初の数年は、大した給料ももらっていないのに、かなりオーディオにお金を突っ込んでいましたね。

まあ、基本的には仕事でいい音に触れることが多かったので、わざわざプライベートでそんなにオーディオに熱を上げるということもなかったわけですが、ブルーレイの商品設計のマネージャーをやっていた頃に、当時HD Audioという言葉がありましたが、オーディオのデータ量も格段に増えて、その音質にはちょっと心動かされるものがありまして、久しぶりに自宅のスピーカーを買い換えましてね。置き方を工夫したり、ケーブルも凝ってみたりと、皆さんほどではないにしろ、いわゆる沼にハマり始めたわけであります(笑)。

ずっとビデオ系の仕事をしてきたので、オーディオ設計のノウハウもほとんどありませんし、全然マニアでもありませんが、ソニーで最後の仕事として、ハイレゾの導入に携わったり、縁があってオーディオ協会に勤めたりと、ここのところオーディオにベッタリになっておりまして、音やオーディオにはなんとも言い知れぬ魅力があるなあと思っています。私の趣味半分ですが、この会議室を徐々に試聴室化していまして、協会に来ていただいた方々に、少しお金が使えるようになったらこんな部屋が欲しいな!と思ってもらえるような、そんな空間にしておきたいと思って、その範囲の機器でシステムを組んであります。

星)初めて来ましたけど、いいお部屋ですよね。

末永)ありがとうございます。なんか機器よりも、調音パネルとかプロジェクタを天吊りするトラスとか、周辺の方にお金が掛かっちゃって、だんだんと簡単に手に入る空間のイメージじゃなくなっているんですけどね(笑)。先日もクラシック音楽を聴く同好会をやっている大学生が遊びにきてくれたんですが、ここに住みたいです!なんて言ってくれましてね。そういう若い子にも、面白味が分かったようで、とってもうれしかったです。

じゃあ、最後に秋山くん。

秋山)私は特殊かも知れませんが、音楽を聴きたいがためのオーディオではなくて、音が好きというところから入ったんです。音が変わること自体が楽しかった。中学生の時に親にウォークマンを買ってもらって、そのイヤホンを換えると音がこんなに変わるのか、みたいなことから興味を持って、今度はそのウォークマンの音を、当時オプションとして売られていた小さなステレオスピーカーから出してみたら、LとRの真ん中の何もないところから音がして、驚愕したんです。小さい頃からラジカセは持っていましたが、そういう音の出方はしなかった。それで一気にオーディオの世界に魅せられたんです。これが私のオーディオ原体験ですね。

末永)それはオーディオ協会が発足したきっかけとなる井深さんのステレオ再生の感動体験と同じだね。君はやっぱりオーディオ協会で働くことが宿命づけられていたんだね(笑)。それが何歳くらい?

秋山)中1か中2でしたかね。それからステレオサウンドとか読み始めて、今に至るわけです。だから私の場合、音楽はむしろ、オーディオを聴くために覚えました。オーディオ雑誌の中で、評論家の先生が試聴に使われたCDを買ってくるんです。でもクラシックやジャズが多かったから、さっぱり分かんねぇ~~ってなってました(笑)

全員)(笑)

末永)その頃からのフラストレーションがリクエスト大会につながったんだね!(笑)

秋山)難しい曲が多くて、なんでこんな曲を聴いているんだろう?と思っていましたが、中にはこれ好きかも?って曲もあって、その音が良かったりすると、もっと良い音で鳴らしたくなったりして。そういう感じなので、私はオーディオが先で、音楽は後からついてきた人間です。だけど、こんな私でも、調整がばっちりハマった時にはすごく音楽が魅力的に聴こえて、音楽っていいなぁ、って思えるんですよ。その瞬間のために常にオーディオをいじっている感じですね。

末永)いや、音が変わることが好きで、そこがオーディオの魅力だと考えている人は、理系の人間には多いと思うよ。むしろ、聴くに堪えない音で音楽を聴いている人を見かけると、もっといい音で聴けば楽しいだろうに、と思うんだよね。

秋山)ちゃんと音楽を聴いていないとか、音楽があってこそのオーディオだ、みたいなことを言う人いるじゃないですか。ほっとけよ!って(笑)

星)いろんな楽しみ方があって、いいじゃないですか!

秋山)みんないい音を求めているという点では共通していると思うんだけどね。

末永)私はダイアナ・クラールが好きなんだけど、質の悪いオーディオシステムで聴くと、投げやりに歌っているように聴こえるのに、いいシステムで聴くと、ゾクゾクするほど色気のある声で聴こえるのが面白くて、オーディオを聴かせてもらう時のリファレンスにしています。人それぞれにそういう基準を持つというのも楽しいし、それを披露しあうのも楽しいですよね。

オーディオの世界に期待したいこと

末永)今後、オーディオの世界がどうなっていって欲しいか?期待したいことなどを教えてください。

星)とにかく敷居を低くして欲しいです。根は深く、楽しみは広く、みたいな。価格が高いからこそ偉いみたいなのが行き過ぎている気がします。

居藤)ハイエンドオーディオのファンは放っておいても自分で極めていくでしょうから、そうではない人たちに、どうオーディオの楽しみを知ってもらうかが大切だと思いますので、そのためのイベントとかやったらいいのかな?と思います。ただ、クローズドなイベントだとアクティブな人しか参加しないでしょうから、できるだけ入り口が多ければ多いほどいいとは思いますし、イメージを良くして、敷居を下げていくことが大事かと思います。

有路)いい音を聴く機会があんまりないんじゃないかと思うんですよね。オーディオ好きな人が集まれば聴く機会も増えるのですが、オーディオが趣味の人なんて、最近リアルに出会ったことないですもん。それに、趣味がオーディオですって、なんとなく恥ずかしくて言えない雰囲気があるんですよ。だからといって、将来をそんなに絶望視しているわけではないのですが、いい音を聴いてもらえるきっかけがあれば、オーディオっていいよね!となると思っていますし、そう信じたいです。

といいますのも、最近は音楽がテーマの映画が流行っていたり、映画館でドルビーアトモスを体験するために料金を払っている人たちがいたりするわけですよ。いい音を求める気持ちは今も昔も変わっていないんじゃないかな?と思うんです。

最近のオーディオ専門誌では、めちゃくちゃ高いものばかりがフィーチャーされるんですが、私の若い頃ならミニコンポから始めたわけです。エントリークラスでもいろいろ触ってみると音の変化が面白かったし、遊べたわけです。今でもカーオーディオとかであれば、パーツを取り換えて遊べるものがたくさんありますが、ホームオーディオもまずはお金をかけずに遊べばいいんだよ!という気軽な感じで始めてもらいたいです。そのための、キッカケ作り、広報活動が必要なのかもしれませんね。

末永)ありがとうございます。では、逆に言うと、足りないものって何ですかね?

有路)オーディオ自体を知る機会が少ない気がします。オーディオって手が届く範囲でも、いいものがあるということをまったく知らないと思います。

吉野)趣味はオーディオって言っても、何それ?って感じだよね(笑)

有路)それ何するもの?どう楽しむの?って話ですよ。私たちはオーディオ村の住人なので常識ですが、一般の人にとっては、何を言っているのか分からないというところだと思いますね。

末永)確かにね…。吉野さん、どうですか?

吉野)皆さんおっしゃっていますが、今、ミドルクラスの商品に欲しいものがほとんどなくて。20年くらい前だったら、お、これはいい音だ!という魅力的な製品がいっぱいあったりしたんですよ。今はそういうものが市場から無くなってしまった気がしますね。それにあの頃は、ハイエンドクラスにしても頑張ればなんとか手が届きそうなところにあったんですが、今は天井知らずで、庶民には絶対に手が届かないですね。

ヘッドホンやイヤホンだと、最上位機でもまだ手が届く範囲にあるので、みんなそっちに行っちゃっているのかな?と思います。是非、30万円くらいで、おっ!と思わせてくれるような製品を各社が用意して欲しいですよね。

末永)少し頑張れば、手が出せる範囲で、ですね。

秋山)業界全体の課題だと思うのですが、本当に今、魅力的なミドルクラスのオーディオ製品が少なくて、スペースに集まってくるようなオーディオ好きは、みんな中古を買っています。オーディオ評論の仕事もしている私ですらそうです。

昨今は、価格の安いエントリークラスでも十分にいい音がするので、そこで満足している人も多いと思いますが、一方で、100万円を超えるような製品とのあいだには絶対に超えられない壁があるんですよね。でも、以前のミドルクラスにはその壁を超えられるような、魅力的な製品もあったんです。

吉野)あったよね~。

秋山)そこが面白かったし、ミドルクラスであればなんとか手が届きそうなものだったけど、今は完全に二極化してしまっています。ハイエンドクラスなんて1000万円超えが当たり前だもんね。

吉野)夢がないです。

末永)秋山くんの言うミドルクラスとは、大体いくらくらいのものですか?

秋山)30年前で、50万円くらいですね。

末永)ふむふむ。1990年代?その頃の50万はけっこうなお値段だったろうけど、まあ、そのイメージね。分かる分かる。

秋山)正直、日本人の平均所得って当時とほとんど変わっていないじゃないですか。それなのにオーディオ機器の値段だけが上がっちゃった。そんな状況だから、中古で往年のミドルクラスを買って、いろいろと試行錯誤しながら、ハイエンドクラスに負けない音にできないかと頑張っているんです。

星)皆さん中古を買ってますよねぇ。安くて価値のあるものが手に入るので、私のまわりもそんな人ばかりですよ。そういうことなので、新規のファンは掘り起こせていないと思っています。

末永)じゃあ皆さん共通して、魅力的なミドルクラスの製品がないということが、現状のオーディオの課題と考えているというところでしょうか?

秋山)エントリークラスは頑張っていると思います。ただ、その先に進化する楽しみが無い状況なのが残念です。

全員)(頷く)

秋山)ちょっと話が逸れますが、アナログブームが続いているようですが、私のまわりの若い人たちはアナログやってないんですよ。リクエスト大会でもレコードを持参した人は一人もいなかった。

末永)若い人がレコードを買っているとは聞くけど、実際やってみると面倒臭いってこともあるんじゃないかな?大きなジャケットには魅力あるとよく言われるんだけど。

秋山)居藤くんはアナログやらないよね。

居藤)場所をとるのがネックですね。安いプレーヤーでは納得いかないのも分かっているので、手を出すタイミングが難しいです。

末永)音質を追求するには、それなりに高いプレーヤーを手にしなきゃならないと考えているわけですね。

秋山)アナログ、アナログって言われている割には、若い人たちがやっている感じがしないです。

星)レコード自体は、プレミア価格だとか、けっこう話題になりますけどね。

秋山)新譜も高騰しているから余計にハードルが上がっている。

末永)一般的には、若い人はストリーミングに向かっていると言われるわけですが、これはこれで音質という点では評価がいまいち低かったりしますが、どう見ていますか?

星)ハイレゾが配信されたりして、良くはなっていると思うんですけどねぇ。

末永)確かに、ハイレゾが売りにされていたりすることもあるのですが、デジタルのエンジニアは、アナログブームに負けないように、もうちょっと頑張れ!と思うんですよね。まぁ耳に届くまでのアナログ部の問題が大きいのかもしれませんが。

秋山)ストリーミングは手軽なようでじつは結構大変で、ルーターだのスイッチングハブだのと、そういうところを対策しないと全然いい音が出ないので、そんなものに金をかけるくらいだったら、オーディオ機器に投資したいという人がいるのは分かりますけどね。

居藤)今、お手頃な価格帯のAVアンプを買う人も結構いたりしますが、そこからステップアップしていこうとしても、選択肢があまりないんですよね。だから、そこで進化が止まってしまうということがあると思います。

末永)AVアンプと言えば、20年前の座談会では、ちょうど地デジが始まる時期でもあったので、5.1chシステムが流行るであろうということを鑑みて、マルチチャンネルをきっかけに、オーディオの興味を取り戻してもらえたら、というコメントがありました。20年経った今、振り返ってみると、残念ながらそうはならなかった歴史があるわけですが、ステレオとマルチチャンネルの違いや、アナログアンプとデジタルアンプの差について、皆さんはどう思っていますか?

星)デジタルアンプがダメって意識はないですね。

居藤)私は自宅でデジタルアンプを使っています。好き嫌いはあるかもしれませんが、アナログアンプに比べて劣るとか、今はそういう評価はないと思いますね。

秋山)マルチチャンネルは、当時の5.1chは2chの延長線上にありましたが、今はイマーシブを指すことが多いので、そもそも種目が変わってきていると思います。テニスと卓球のようなもので、どっちがどうのって話ではないですね。

末永)ステレオじゃなきゃダメだってことでもないわけね。

吉野)やっている人も少ないし、ちゃんとしたマルチチャンネルを聴く機会がないので、まだその価値がちゃんと伝わっていないというのが正直なところかと思います。

秋山)今後の問題は、どうやって最新のイマーシブ音源を聴くのか?スピーカーなのか、ヘッドホンなのか?そこでしょうね。

オーディオ協会に対する期待

末永)最後になりますが、オーディオ協会に期待したいことをお聞きしたいと思います。今日のメインイベントね!

秋山)たくさん言ってくださいね!10個言えば1個くらいやれるかもしれません。

全員)(笑)

吉野)個人会員もかなりの数の方がいらっしゃるようなので、もっと集まって交流する機会があるといいですね。

有路)私もまだ入会してまだ間もないので、なんとも言えないですが、オーディオ協会の会員の方だと身元がはっきりしているし、そういう方とリアルに触れ合える機会があればうれしいですよね!実際、オーディオを一人で悩みながらやっている人も多いと思うんですよ。個人会員同士で交流することで、知識や技術を高められることを期待したいですね。

秋山)昔はオフ会があって、世代間の交流も上から下まで結構あったんだけど、今はSNSで済ませている人が多いよね。だけど、最近のSNSは声のデカい人がお山の大将で幅を利かせている感じで、あれは問題だと思います。

居藤)もっとオーディオに触れる機会を増やして欲しいですね。OTOTENも東京国際フォーラムでやっていますが、若い人は有楽町なんか行かないです。もっと行きやすい池袋や秋葉原でやって欲しいですね。

秋山)若い人は国際フォーラムに来ない?

有路)えー、わざわざあそこに行こうと思わないでしょ!

居藤)もっと他にも立ち寄れる、用を済ませられるような立地であるといいと思います。それに、国際フォーラムってフォーマルというか、敷居が高いイメージがあるので、もっとカジュアルな場所で、オーディオの楽しさに気軽に触れてみたいです。

有路)秋葉原でやっているヘッドホンのイベントなんかは、イベント終わりに立ち寄る場所も多いので、少しくらい興味があれば、買い物のついでに行ってみるかな?という気になるんだけどね。

居藤)イベントが面白くなかったとしても、秋葉原だったら潰しが効くんですが、有楽町じゃあきらめがつかないので…。

末永)たった3駅の差だけど、そんなに違うんだ!?

吉野)有楽町や銀座なんて、用がないよね(笑)

有路)なんか、よく分からないイベントだし、扉も開けていいのか分からないし、扉開けるとおじさんばかりだし…。

末永)え~、有路さんですら、扉を開けていいのかな?って思うの?

有路)扉を開けてみて、「今、聴いているんだよ!」みたいな感じでジロっと睨まれたら、もう今どきの子は二度と来ないですよ。あれは怖いだろうなぁ。

末永)よく分かりました。この扉問題は、理事会でもすでに重要課題だと捉えていて、できるだけ扉を解放しておいて欲しいとお願いしようとしています。もちろん、扉を閉めておく必要がある時もあるでしょうから、「自由に開けてお入りください」といった掲示も依頼しようだとか、少しずつ、改善を計ろうとしています。他にも気になることあれば、遠慮なく言ってくださいね。

星)あとは、SNSやYouTubeですね!頻繁に更新するのは大変でしょうけど、協会がどんなことをやっているのかをもっともっと発信して欲しいです。そうすることで、行動指針が見えてくると思うし、個人会員のフォロワーにも拡散されていけば、かなり伝搬していくと思いますね。

居藤)オーディオ協会が何をしたいのか、またオーディオ協会が個人会員に何を期待しているのかが分かっていないというか、教えてもらえるとありがたいです。

末永)では、真面目にオフィシャルコメントをしておきますね。先ほども少し紹介しましたが、オーディオ協会は、オーディオを通じて、いい音で音楽を聴くということを文化だと考えていて、これを広めて、生活を豊かにしていく活動が求められており、これに共感してもらえる人を増やすことがとても大事で、具体的な活動としては、情報発信をしたり、展示会を開催したりというのがあるわけです。個人会員の皆さんにはそれらに賛同して協力していただくことが期待されるってところですね。

居藤)そういうことなんですね。

末永)私が協会で勤め始めた時、ここは江戸時代か??と思うくらい時間が止まっている世界だったので、色々と改革して、オフィスも働き方も今風なものに変えて、協会自体が明るいポジティブスパイラルに入るようにしていっているんですが、まだまだ世間からすると遅れているので、若い皆さんにたくさん協力して欲しいです。

個人会員がやりたいことをやってみるというのもいいと思うんですよ。そこから新しいことが生まれて、楽しいことが出来るようになれば、去年のリクエスト大会のように、オーディオ協会に興味を持ってもらって、もっと個人会員の輪が広がるだろうし、私は、オーディオ協会はオーディオだけに留まる必要もないと思っているくらいなので、どんどん提案してもらえればと思っています。

秋山)オーディオ協会の個人会員というのは、協会活動に賛同して協力する人と定義されているんですよ。会費を払っているのだから、何かおいしいメリットが受けられるんじゃないか?と言うのは、ちょっと違うわけです。

星)そうみたいですね。末永さんから、会費は協会に対する投資だから、と最初に説明を受けましたもの。

末永)あ、そうでしたっけ(笑)

星)ええ、真面目に。

末永)星さんがエントリーしてきた時、あまりにびっくりしたので、しっかり説明しておかなきゃ!と思ったんですね。

秋山)とはいえですね。結果的に私がたくさんの人たちに声を掛けて、こうやって仲間になってもらったわけなので、その責任は感じていまして、これが「秋山被害者の会」にならないように、個人会員による活動を一緒にやっていきたいなと考えているわけです。

末永)秋山くんがこの点はすごくやる気になっていて、新しいことをやらせてください!と言っているので、皆さんぜひ協力してあげてください。

秋山)なので、やってみたいことがあれば、遠慮なく言ってもらえるとありがたいです。

有路)大谷翔平選手みたいに、オーディオ界のカリスマ的な存在が出てきて欲しいですね。私たちの世代だと菅野沖彦先生、長岡鉄男先生をはじめ、誰かを目標にしてオーディオを始めることができましたが、今の若い人たちは状況が異なると思うのです。目標となる存在もいないと、情熱を持ってオーディオに取り組めないのではないかな?と感じています。

末永)私も、優しく育ててくれるコミュニティが必要ではないかと思うんです。まさに、個人会員の皆さんでもって、オープンで、また初心者に優しいコミュニティを形成出来たら、面白そうだと思ってくれる人たちがどんどん輪に入ってくれるんじゃないかな?と期待しているんですよね。

有路)そうですね。分からないことが出てきたときに、きちんとした情報が得られるコミュニティがあったら、初心者の方に喜んでもらえると思います。というのも今、情報を知りたいと思った時に、どこを見に行くかと言ったらYouTubeなんです。だけど、いいかげんな情報を発信しているユーチューバーもたくさんいて、せっかく関心を持ってくれた人が毒されてやる気を無くすようなことが起きていると思われるので、これはなんとかならないかなぁ?とよく思うんですよ。

末永)なるほど、それでカリスマ的な存在が、なんですね。見るに堪えない批判的なことばかり言っているチャンネルも多いですからね。どんな話題においてもそうですが、広告収入のために面白おかしく語ったものの勝ち!釣ったもの勝ち!といった風潮があるので、本当は正しい情報をしっかり伝えている人がもっとリスペクトされる文化を育てたいですね。

そういう意味では、オーディオ協会が発信する情報は、正しい情報だと認識されるものだと耳にします。そのブランド力を使って色々発信していかなきゃなとは思っていますが、なにせ手が足りてないのでね、ごめんなさいね。

コンテストで受賞した学生とよく話をしますが、協力できることあったらなんでも言ってください!と言ってくれるので、まずは若い子たちの感覚を知る上でも、話を聞かせてもらうといったところから始めて、少しずつコミュニティを広げています。

吉野)そうなんですか、それはいいことですね!

末永)皆さんにもいろいろと相談させてもらいたいですので、ひとつ、よろしくお願いします。

秋山)手伝って欲しいこといっぱいあるんですが、協会の仕事ってアルバイト代は出ないんでしたっけ?

末永)ちゃんと払ってるよ!そんな、タダ働きさせてないって。

秋山)あ、そうなんだ。

末永)大盤振る舞いはできないけど、イベントを手伝っていただけるとかでもありがたいです。

秋山)吉野さんには、いつも大変な仕事をいっぱいやってもらっていて、申し訳ないくらいなんだけど…。

末永)ああ、毎度毎度「今度うなぎをご馳走するから、お願いします!」とか言って、頼んでいるやつね。

吉野)そう言えば、そういう話になってましたね(笑)

秋山)もう、だいぶうなぎが貯まってますね。早く行かないと鰻屋の大将が引退してしまう(笑)

末永)そうだよ、うな重が何段積まれることやら…。吉野さんもそんなにたくさん食いきれないよ(笑)

全員)(笑)

末永)ほんと、吉野さん、まずは、うなぎを清算しに行きましょう!皆さんともOTOTENが終わったら、ぜひ会食でもさせてください。今後ともよろしくお願いします!

全員)よろしくお願いします!

最後に

今後も、色々なテーマを考えながら、このような座談会を開催していきたいと思っています。一人一人、個性は違ってもオーディオを愛する思いは同じで、まだまだこの世界は捨てたものじゃないなぁと思っています。

オーディオ協会として、あるいは大人側の論理として、ベストだと思ってやっていることも、若い世代から見ると違って見えることがたくさんあることを今回は少しでもご理解いただければと思います。

そういうことを遠慮なく語り合えるコミュニティが健全な社会を生み、生活を豊かにし、文化という大きなゴールを達成するものと感じております。

ますます、個人会員の皆さんに声を聞いて回ることが楽しみになりました。