2023summer

OTOTEN2023を終えて

日本オーディオ協会 会長 小川理子

暑中お見舞い申し上げます。
全国で大雨や洪水の被害が発生しており、被災地の方々には心よりお見舞い申し上げます。

さて、6月末にOTOTEN2023を無事開催することができ、ご支援ご協力いただきました皆様方には厚く御礼申し上げます。おかげさまで、前年比130%という来場者数を達成し、コロナ禍での停滞感をようやく業界全体で突破できたような気がいたします。私も時間のある限り、各ブースを拝見させていただきましたが、それぞれに個性あふれる世界観を創りあげておられ、限りある場所と時間で最大の効果をいかんなく発揮されていたことが印象的でした。

学生インターンのイベント参画も定着し、日本音楽スタジオ協会と共に企画した制作者を視点とするセミナーに、オーディオ、音楽、音声、放送など、将来、音に関連する業界を目指す若い方々にも多くご来場いただきました。また、今回新たな取り組みとして呼びかけた、持ち込み音源OKなリクエスト大会は、行列ができるほどの盛況ぶりで、持ち込まれた音源の試聴体験そのものだけでなく、会場内で聴いている皆様方の反応ぶりや、評論家の先生方の反応ぶりがあまりにも面白くて、私も長時間、席を立つのを忘れるほど興味深く聴かせていただき、新しい発見がたくさんありました。何よりも、持ち込まれた音源を真に幸せそうな表情で聴き入っている方の表情を拝見していて、これは絶対に名物企画にしなければいけない、と心に誓いました。

さらに、昨今のCGM(Consumer Generated Media)の流通や、コミュニケーション手段としての音コンテンツの多様な表現にも光をあて、再生系だけではなく、収録、制作という上流工程に関わる技術展示や、体験展示をさせていただいたり、昨年に引き続き、様々なイマーシブオーディオの最新情報も、解説含めてデモンストレーションいただきました。

「学生の制作する音楽録音作品コンテスト」に毎年応募いただいている名古屋芸術大学からは、学生の皆さんの音響制作の取り組みを、初めてブースを設置してご紹介いただき、学生さんたち自身が、制作意図やプロセスをわかりやすく解説し、音の感性的な価値を伝える機会を通して、あるいは鑑賞者とのコミュニケーションを通して、多くの学びや気づきがあったとお聞きしています。

「学生の制作する音楽録音作品コンテスト」は、今回「ReC♪ST」(読み:レックスタ)の愛称を掲げさせていただくことをセミナーの場で発表しました。これも、過去のこのコンテスト入賞者である岩本双葉さんが若者代表として様々な提言をしてくださって、そのアイデアの一つを採用させていただいたものです。

OTOTENは来年度以降もどんどんと挑戦をし続け、皆様と共に、明るいオーディオの未来を創っていきたいと思います。

さて、早いもので、8月に入りますと、12月の音の日の企画と実行計画策定を始めますし、来年度の事業計画や、来年度のOTOTENの構想にも入ります。総会でご紹介した会員の皆様からの忌憚のないご意見も検討しながら、改善をしてまいりたいと考えております。

私自身は、ミュンヘンで5月に開催されるハイエンドショーの雰囲気が、とても好きです。家族みんなで楽しむ様子、老若男女入りまじって楽しむ様子、自由にあちらこちらをまわって一日中ゆったりと楽しむ様子、そんな雰囲気を今後のOTOTENでも実現していきたいと思います。

コロナ禍で停滞していた3年間を取り戻すべく、もっともっと多様な方々に楽しんでいただけるオーディオの姿を実現するために、これからも関連する業界の皆様方と共に歩んでまいります。今年度後半もよろしくお願い申し上げます。