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- バックナンバー
日本オーディオ協会 創立70周年記念号2022autumn
『アナログ、復権の10年』
私が思うエポックなアナログレコード10作
選 小泉洋介(オーディオテクニカ)
エンジニアではなく、ひとりの音楽愛好家として思い入れの強い10枚を選定
Disc1 『Dimitri Chostakovitch:Concerto No.1 Pour Piano、Trampette Et Cordes Op.35/André Cluytens、Ludovic Vaillant、Orchestre National De La Radioffusion France』(Pathe)
Disc2 『Waltz For Debby/Bill Evans Trio』(Riverside)
Disc3 『At The Five Spot Volume 2/Eric Dolphy』(Prestige)
Disc4 『Freak Out!/Frank Zappa The Mothers Of Invention』(Verve)
今回選んだ10枚のLPレコードは製品の開発に使用しているものではなく、個人的に思い入れの深い作品という観点で選定している。
ショスタコーヴィチの仏Pathe盤のLP(Disc1)は演奏の内容云々よりもその美しいジャケットデザイン、古い仏盤LPに見られる棒付きスリーブという体裁に加え、作曲者本人が演奏している点でも興味深い一枚。
『Waltz For Debby』(Disc2)はJAZZの定番ディスク。これからJAZZを聴き始める人を引き込むような普遍的な魅力を持ちながら、通のリスナーも唸らせる歴史的名盤。
Eric Dolphyは大好きなアーティストの一人だが、Five Spotで吹き込んだライブ盤(Disc3)などの諸作は忘れられない。
60年代のロックでビートルズは外せないが、他の方の選定にも入りそうなので、あまのじゃく的に2枚を選定。フランク・ザッパのデビュー作となる『Freak Out!』(Disc4)はさまざまな音楽ジャンルを下地にした多種多様な音楽が散りばめられた意欲作。ビートルズで言えば『レボルバー』を発表した年にこの作品を世に出した先進性はにわかに信じ難い。
ジャケットからしてサイケデリックな雰囲気満載の『Odessey And Oracle/The Zombies』(Disc5)は、宙に浮いたような感覚で美しいメロディーが堪能できる私にとっては至極の一枚。
Disc6 『Blue/Joni Mitchell』(Reprise)
Disc7 『Aja/Steely Dan』(ABC Records)
Disc8 『Hatful Of Hollow/The Smiths』(Rough Trade)
Disc9 『Famous Blue Raincoat/Jennifer Warnes』(Cypress Records)
Disc10 『ブルックナー:交響曲選集/ギュンター・ヴァント指揮ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団』(キングインターナショナル)
70年代のレコードからは2枚、『Blue/Joni Mitchell』(Disc6)は全編アコースティックな演奏で通したタイトル通り悲しいバラードを散りばめた名盤。名作の多い彼女の作品の中でもターンテーブルに載る回数が一際多い。
スティーリー・ダンは試聴で使う場合は後作の『Gaucho』、個人的に聴く回数が多いのは前作の『The Royal Scam』だが、初めて聴いた作品は『Aja』(Disc7)でその時の感動を忘れられない。
80年代からはザ・スミスの『Hatful Of Hollow』(Disc8)。本作はBBCの音楽番組のためにスタジオライブ録音の形で収録されたLP。オリジナルアルバムやシングルに収められたテイクよりもザ・スミスの良さがシンプルに伝わる佳作。
『Famous Blue Raincoat/Jennifer Warnes』(Disc9)は録音が非常に優れたLPで製品のデモなどにも使用するが、全編にわたってクォリティの高い曲ばかりで、個人的にも愛聴盤の1枚。
最後はギュンター・ヴァントがミュンヘン・フィルを指揮したブルックナーの交響曲の選集セット(Disc10)。ある意味難解なブルックナーの魅力に気付くことができたのはヴァントの演奏だったので、高音質LPとして発売されたのは嬉しい限り。