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JASジャーナル目次
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- メーカー開発者対談 エソテリック 加藤徹也 × マランツ 尾形好宣
- ポータブル&ワイヤレスで楽しむハイレゾ(関英木)
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- メーカー開発者対談 テクニクス 井谷哲也 × オーディオテクニカ 小泉洋介
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- 「ダイレクトカッティング」キング関口台スタジオ 高橋邦明インタビュー
- 「Lacquer Master Sound」ミキサーズラボ 内沼映二インタビュー
- 私が思うエポックなアナログレコード10作(小原由夫)
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- 加速するイマーシブオーディオ(麻倉怜士)
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- BS8K放送の22.2マルチチャンネル音響(島㟢砂生)
- イマーシブオーディオ制作現場最前線 Xylomania Studio 古賀健一インタビュー
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- 編集後記
- バックナンバー
日本オーディオ協会 創立70周年記念号2022autumn
『アナログ、復権の10年』
私が思うエポックなアナログレコード10作
選 井谷哲也(テクニクス)
アナログレコードとの出会いには、縁をいつも感じてしまう
Disc1 『トップ・オブ・ザ・ワールド/カーペンターズ』(A&M/キングレコード)
Disc2 『ヴィーナス・アンド・マース/ポール・マッカートニー&ウィングス』(Capitol)
Disc1は、中学で洋楽を聴き始め、生まれて初めて小遣いで買ったアナログレコード。家にあったセパレートステレオで聴いていた。Disc2は、高校三年、大学受験の重苦しい感覚と共に心に残る一枚。高校で自作オーディオを始めたころ、フォーク・ロック、特にビートルズと各メンバーの曲をよく聴いていた。
Disc3は、1971年のデビューアルバムが廉価盤で再発されたのを購入し、大学時代によく聴いていたアルバムのひとつ。その頃は日本、海外を問わず、女性ヴォーカル作品を好んで再生していたが、特にヘレン・レディの声が好きだった。
岩崎宏美の曲は、オーディオの音質チェック盤としてよく使っていた。Disc4は、女性作詞家が作った作品でまとめ、彼女がアイドルから大人の歌手への変貌を感じた一枚。ちょうど大学四年の作品で、就職が決まり期待と不安で複雑な心境だった頃を思い出す。
Disc5 『I Love You/オフコース』(EXPRESS)
Disc6 『LONGTIME FAVORITES/竹内まりや』(Moon)
Disc7 『Felix Mendelssohn: Symphony No. 3 In A Minor Op. 56, Scottish/Gustavo Dudamel、Wiener Philharmoniker』(Deutsche Grammophon)
Disc8 『Brahms:Symphony No.1/Herbert Blomstedt/Gewandhausorchester Leipzig』(PENTATONE)
Disc9 『The Köln Concert/Keith Jarrett』(ECM)
就職後、初の仕事がCDプレーヤー開発だった。Disc5はアナログレコード発売後すぐにCD化され業務でも使用した思い出があり、初仕事の“生みの苦しみ”と共に記憶に残る。この頃、自宅システムにもCDプレーヤーを導入、アナログレコードでの再生から徐々に主軸を移していき、個人的なオーディオソースとしては、1983年から2003年までアナログオーディオを休止していた。
約20年ぶりにアナログレコードを購入した一枚がDisc6。ネット通販での購入したのが初めてだったこともあり、ちょっとした冒険感があった。ご自身の好きな曲をリラックスして歌っている感じが良い。
Disc7は、2012年のドイツ・グラモフォンの新録音盤で、アナログレコードのみのリリースだった貴重盤。本作を手に、クラシック音楽界にもついにアナログレコード復活の波が来たと実感した。
Disc8は、現役最年長の巨匠指揮者ヘルベルト・ブロムシュテットの最新録音盤、相変わらず若々しい演奏。CDではチクルス(全集録音)が完結しているので、残りの作品もぜひアナログレコードでも出してほしい。
Disc9とDisc10は、自分が携わった製品開発時に評論家先生から教えていただき素晴らしさを認識した二枚。定番Disc9は以前から聴いてはいたが、テクニクスのアナログプレーヤー復帰作SL-1200GAE開発時に、ある先生が再生したのを聴き、再評価した一作。ピアノの余韻がダイレクトドライブメカニズムだと綺麗に響くと思う。メロディ・ガルドーは、CDで聴いていたときは正直好きなタイプのヴォーカリストではなかったが、2006年に開発したテクニクスのフラッグシッププレーヤーSL-1000R開発時に、ある評論家先生が再生した45回転盤のDisc10で開眼。そのタイミングでは既に入手困難だったが、市場調査で立ち寄ったレコードショップで偶然発見、すぐに手に入れた。音源との出会いはなにかの縁であることを知った作品でもある。