DSD (Direct Stream Digital)
読み方 : ダイレクトストリームデジタル
用語解説
DSDはスーパーオーディオCDに採用されたデジタル信号で、サンプリング周波数はCD(44.1kHz)の64倍2.8224MHz、量子化の分解能には1ビットが用いられます。分解能はCD(16ビット)の16分の1ではあるもののサンプリング周波数は64倍なので、DSDのデータ量は実に4倍にもなります。
アナログ音声信号を量子化1ビットのデータにアナログ/デジタル変換する手法にはΔΣ(デルタシグマ)変調と呼ばれる方式が用いられます。
FIG 5は最も簡単なΔΣ変調器の構成の一例です。1ビット量子化器のほかに差分器(デルタ)、積分器(シグマ)と遅延器(ディレイ)が構成要素となります。このΔΣ変調器では遅延器で1サンプリング遅れた量子化器出力(2値)と入力アナログ信号との差分がとられその結果が積分(累積)されたのち1bitの量子化器に入ります。
FIG 6はこのΔΣ変調器に正弦波を入力したときの出力波形を示しています。量子化器の出力は量子化器誤差がフィードバックされるため細かいタイミングで「1」「0」の反転を繰り返します。そして入力正弦波が基準レベルよりも高い部分ほど「1」のパルスが多くなり、一方で基準レベルよりも低い部分ほど「0」のパルスが多くなっているのが分かります。
ΔΣ変調は信号レベルの大小をパルス波形の密度(濃淡)で表現することになるわけです。演算整形された数値データであるPCM方式とは異なり、アナログ信号を直接「1」と「0」のみの脈々と続くパルス列に置き換えるものです。