学生の制作する音楽録音作品コンテスト

第9回 2023年優秀録音技術賞

鮮やかを手にする2ch 96kHz 24bit


※音源は2chに変換されたものです

尚美学園大学 芸術情報学部 情報表現学科
チーム: 鮮やかを手にしたい人たち(もさっち)
嶺 李歌さん

作品について

作品のコンセプトは?思いついたきっかけは?

作品のコンセプトはリファレンス音源となりうる作品作りです。
多くのプロのエンジニアの皆さんは、それぞれ「リファレンス音源」と呼ばれる、音質が非常に良く、スピーカーや会場の音を確認しやすい音源を持っています。私たちはそのようなリファレンス音源そのものを作りたいと考えました。

きっかけは音響サークルでスピーカーチューニングをする際、リファレンス音源を使う機会があり、現場で使えるような作品を作ろうと思いました。また良い音と呼ばれる作品たちを聴く授業があって、良い音とは?と考える機会もありました。そして大学の授業内でこの曲と出会い、コンテストに応募するのにふさわしい作品だと感じ、録音とミックスを行いました。

制作時苦労した点・表現できた点・工夫した点は?

苦労した点

まず昨年11月に大学の授業内でこの曲と出会い、コンテストに応募するのにふさわしい作品だと感じ、ミックスをしました。ところが録音されていた音が理想の音とかけ離れていたためミックスを断念。演奏者に連絡を取り、今年の3月に再録音を行うことにしました。

表現できた点

3月の再録音の前に、主にドラムのマイキングについて研究するため、2月に録音のテストを行いました。ここで試行錯誤を重ねて、太鼓ごとのマイクの種類とマイクを立てる位置を、探し当てることができました。
再録音後のミックスでは、録り音が良かったため、ドラムの音はほとんど加工することなく、音量バランスを取りリバーブを掛けた程度です。

工夫した点

ミックスでは、「リファレンス音源」と呼ばれるような曲たちを参考に、バランスを取りました。

作品の聴き所・アピールポイントは?

ドラムの音色とともに、ベースの音にもこだわりました。しっかりと低い周波数成分があることと同時に、その音に濁りがないように工夫して、深みのあるベースの音を目指しました。ドラムとのバランスもこだわったのでその点に注目して聴いていただきたいです。またイントロにウィンドチャイムの音を追加して、ベースの低音が出てくる直前にその高音を出すことで。楽曲の周波数の広さを印象付けています。

コンテスト参加ついて

受賞の感想をお願いします!

曲名にちなんで、当初から“「鮮やか=優秀録音技術賞」を手にしたい“と思い、チーム名も「鮮やかを手にしたい人たち」という名前にしました。そのため、目標を達成することができてとても嬉しかったです。

参加のきっかけは?

先生から録音コンテストがあると聞き、いつか応募してみたいと思っていました。「鮮やかを手にする」に出会った際、この曲でリファレンス音源となる作品を作りコンテストに応募したいと思ったからです。

制作時のエピソードはありますか?

録音コンテストの約1年前から制作に取り掛かり、録音済みの作品のミックスを行いましたが、主にドラムの音に納得がいかず、メンバーで話し合い録り直すことを決めました。録音をまた0からやり直すことになり非常に辛かったです。タムの濁った余韻やハイハットの音色を改善するためマイキングの実験を何度も行い、納得がいくまで試行錯誤しました。ミックスの際は実際に現場で使用しているリファレンス音源を聞き、3人で意見を出し合いながらより良い音を目指しました。

参加してみて良かったことは?

  • チームでミックスを行ったことでリバーブの強さなど、客観的な意見を知ることができました。
  • 今まで1人でしかミックスを行ったことがなかったため、周りの人の感覚や意見を聞きながら作業する楽しさを体験しました。
  • 録音やミックスを試行錯誤して進めていくことで自分の得意なことと不得意なことがはっきりと認識できました。チームで制作したことで途中で諦めないで完成まで進めることができました。

音楽制作をしてみて、音楽の聴き方は変わりましたか?

楽器の定位を意識して聴くようになりました。また自分ならどのようにミックスするか考えながら聴くようになりました。

現役学生へコンテスト参加へのメッセージ・アドバイスをお願いします!

どれだけ制作に時間がかかっても、終わりよければ全て良しなので諦めないで制作を楽しんで取り組んでほしいです。