第2回の音の匠選考では「風と音」、「歴史の素材」をキーワードに選定されました。
鍛冶の技法による伝統工芸を守り、独自の火箸風鈴を考案された明珍 宗理様を顕彰いたしました。
明珍 宗理(みょうちん むねみち)様
明珍家は古く平安のころから代々、甲冑師として武具を作っており、宗理様は昭和17年(1942年)生まれで平成4年に第52代目を襲名、現在は姫路城の近くに工房を構えている。22代目の頃に天皇の命により作り上げた鎧轡が発する音が「朗々とし、明白にして玉のように珍器なり」ということで明珍の名を戴いたという。明治維新以降は火箸の製作などを手がけ、火箸が打ち合って発する澄み 切った音は鈴虫にも伍するものと讃えらる。火箸風鈴は昭和40年(1965年)に宗理氏によって考案され 「つくし・瓦釘・つづみ・わらび・槌目付」型など、各種の形状のものの組み合わせによって構成される。短いものは高く澄んだ音が、また長いものは余韻とともに複雑なスペクトルを持つ音がする明珍独特のもの。なお刀剣製作に使われる「玉鋼」を初めて使っての火箸製作も行われているとのこと。この4月にNHKで放映された「街道をゆく」の音楽は冨田勲氏の作曲になるが、ここにも明珍火箸の音色が六年間、来世紀まで使われるとのことである。