音の匠

第2回 1997年音の匠

前田 仁様

顕彰内容

「サヌカイト石琴の製作」

第2回の音の匠選考では「風と音」、「歴史の素材」をキーワードに選定されました。
讃岐特産の石「サヌカイト」で楽器や風鈴を制作し、音の文化の向上努められた前田 仁様を顕彰いたしました。

プロフィール

前田 仁(まえだ ひとし)様

昭和4年(1926年)香川県生まれの教育学博士。ご本業の会社経営のほかにサヌカイト楽器の創始者として、音楽教育の分野でボランティア活動を続ける。学名サヌカイト(別名讃岐石)と呼ばれる、黒くて固い石は前田様の地元の坂出市の金山などに分布。1,350万年前に地殻変動によって噴出した溶岩が固まってできた岩石で、これを2cm角の棒状にして互いを叩くと独自の非常に澄んだ音がする。前田様はこの石に驚嘆するとともに感銘を覚え、なんとか現代に蘇らせる方法はないかと模索。中国の黄河文明期に生まれたといわれる石の楽器(磬)その他を研究し独自の石琴を考案、1981年にはサヌカイト琴を完成。これは円柱状の石の中心部を同心円状にくり抜き「E」の字を右に90度傾けた独特の工夫がこらされたものである。なお、1986年の武蔵野音楽大学における演奏以降、内外各地でコンサートが開かれており、最新の演奏ではツトム・ヤマシタによ「太陽の儀礼III 神々のささやき」があり、CDで聴くことができる。