学生の制作する音楽録音作品コンテスト

第2回 2015年最優秀賞

Deep Sea5.1ch 48kHz 24bit


※音源は2chに変換されたものです

作曲:林そよか
チェロ演奏:林はるか、和泉景子、堀井龍太郎

東京藝術大学 音楽学部 音楽環境創造科
蓮尾 美沙希さん
林 そよかさん


左から:林さん、蓮尾さん

作品について

作品のコンセプトは?思いついたきっかけは?

チェロの様々な奏法をつかったユニークな楽曲を、5.1cサラウンドで創りたい、というコンセプトでした。
この作品は、作曲専攻の修士課程だった林そよかさんの修了制作作品としてつくられたものです。もともとの曲のコンセプトは林さんが作曲段階でお持ちでした。それをサラウンドでどう表現できるかについては、ひとつひとつ作曲者とディスカッションの中で生まれてきたものだと思っています。例えばこういう風に動かせますよ、例えばこういう風に広げられますよ、みたいな話をしながら一緒につくっていった記憶があります。
ミキシングに同席してもらってどういう風に音を組み立てていくかを相談しながら進めました。
5.1chサラウンドでの制作だったため、どんな風にスピーカーを使うのか?も重要でした。

制作時苦労した点・表現できた点・工夫した点は?

実際に演奏するとかなり小さく細かい音をマイクで拾ってわざと大きく出すなど、生の演奏では実現できない、録音作品でないとできない表現を多く取り入れることを意識して作りました。
5.1chでの制作だったため、スイートスポットが狭くなりすぎないようにミックスすることには注意しました。

作品の聴き所・アピールポイントは?

録音作品でしか実現できない表現を多く取り入れることを目指しました。これは何の音だろう?と思いながら聞くもよし、何を表現してるんだろう?と思いながら聞くもよし、いろいろな面を味わえる作品になっていると思います。

コンテスト参加ついて

受賞の感想をお願いします!

最優秀賞と聞いたときは飛んで驚きました。(笑)
自分たちでも素敵だと思う作品に仕上がっていたので素直に嬉しかったです。

参加のきっかけは?

研究室の教授に応募を勧められた為です。

制作時のエピソードはありますか?

チェロの様々な奏法を用いて楽曲を構成しているため、ものすごく小さな音を拾って使っているので、録音にすごく気を使った覚えがあります。

参加してみて良かったことは?

同時に受賞していた他校の方とその場で意気投合し、現在に至るまでずっと親交があります。このことだけでも参加してよかったと思います。また参加者同士だけでなく、表彰式で話しかけて下さった様々な方と今でも連絡を取り合うことがあります。この場でしか得られなかった縁だと感じており、大変ありがたいです。

音楽制作をしてみて、音楽の聴き方は変わりましたか?

自分が好きな音(音楽の性質もそうですし、もっと細かい楽器の音色や響き方なども含みます)を見つけることが出来るようになりました。

現役学生へコンテスト参加へのメッセージ・アドバイスをお願いします!

「作品を公開・発信する」そのこと自体のハードルは年々下がっているように思います。
YouTubeやSNSなどでの配信はとても手軽にできます。しかし、第一線で活躍されたその道のプロの方に評価・コメントしてもらえる機会というのは中々得られません。自分では思いもよらなかった点について褒められたり、指摘してもらえたりすることは、その後の自身の制作に活きてくることが多いです。
また参加する、そのこと自体が自分の経験にもなります。自分の作品を誰かに見てもらうということは、何を伝えたいのか、どうやったらそれが伝わるのか・・・を考えるとてもいい訓練になります。
自分が手塩にかけた作品ほど、です。受賞するしないに関わらず、糧になります。ぜひ応募してみてください。

JASジャーナル

第2回コンテストの概要や表彰式の様子、審査員の評価コメント等掲載しています。合わせてご覧ください。


JASジャーナル
2016年1月号(Vol.56 No.1)