第8回 2022年
燃やせDolby Atmos7.1.4ch 48kHz 24bit
※音源は2ch(HPL)に変換されたものです
- 名古屋芸術大学 芸術学部 芸術学科
- 古田 晏悠さん
- 伊豫田 真規さん
作品について
作品のコンセプトは?思いついたきっかけは?
曲のテーマは、彼女と海岸沿いでドライブデートをしている男の心境やその恋路について歌いました。夕暮れ頃になると男は何かしら期待してしまう、そんな雰囲気をテーマに作りました。曲調はthe王道パンクといった感じで、使っているコードの数も少なくシンプルかつ疾走感溢れる雰囲気です。ステレオでは表現しきれない遊び心を込めて制作に挑みました。
制作時苦労した点・表現できた点・工夫した点は?
苦労した点
近年多くのDolby Atmos形式のロックバンドの作品がリリースされ、身近に感じる機会が増えたと感じます。しかし、個人制作において 7.1.4形式の制作における個人的メソッドが確立されておらず、大変苦闘しました。ステレオを想定した音源からただ7.1.4形式に置き換えると少し物足りなさを感じました。
初めはいかにライブ感やリアルな表現ができるかを追求しましたが、音源が物足りませんでした。
表現できた点
柔軟な発想をもとに、音楽的な仕上がりになるように努めました。
工夫した点
3ピースバンドのため音数は多くはないのですが、コーラスやハモリを重ね、できるだけ空間を埋める工夫をしました。
作品の聴き所・アピールポイントは?
7.1.4形式は初の試みで、遊び心や想像を込めて制作しました。
本作品はパンクバンド曲を7.1.4形式にし、 MIXしたものです。こちらは私が所属するバンド「SQUALOZ」の楽曲で、元はステレオ音源用として録音したもので今回はその限られたトラックの中、 MIXを行い7.1.4形式にてパンクを表現しました。
こちらは7.1.4音源の視聴ページです。
http://soundmedia.jp/Furuta/
こちら私「SQUALOZ」のYouTube「燃やせ」のステレオ音源です。
録音・制作について
録音について
名古屋芸術大学CR1スタジオにてDrum、Guitar、Bassを 別々に収録しました。BassはDIを使用して録音、Guitarは Kemper Profiling Amplifierを使用し、Drumは SSL4000のヘッドアンプを用いながら、Kick SNには、 Universal Audio 1176LN、OHには、NEVE 33609コン プレッサーを使用しました。
制作について
ステレオでMIX音作りを行なった後に、7.1.4にてMIX を行いました。音数がかなり少なかったため、空間を埋めることが難しかったのですが、トラックを複製しリバーブ用のトラックと、ラウドな仕上がりにするために歪み用のトラックとで使い分けを行いました。
コンテスト参加ついて
受賞の感想をお願いします!
この度は名誉ある奨励賞をいただき、大変光栄に思います。制作を行うにあたってご指導いただいた先生方、 MIXにおいてのアドバイスをくれた方々、そして相方の伊予田正規にこの場をお借りして感謝申し上げます。
参加のきっかけは?
私は大学に入り憧れのバンドを結成する事ができました。バンド活動をして曲が完成し、世界に自分たちの音楽を発信したいと思い、大学のレコーディングスタジオにて録音を始めました。それをきっかけに私はオーディオの世界に強く関心を持つようになり、今回「学生の制作する音楽録音作品コンテスト」に応募させていただきました。
制作時のエピソードはありますか?
今回はパンクロック曲の場合ではありますが、ただトラックを複製して配置するよりも残響や部屋の響きを意識して配置することにより、リスナーは聞き馴染みやすく曲のテーマが分かりやすく伝えやすいと思いました。
参加してみて良かったことは?
今回の経験と反省をもとに、録音段階で7.1.4形式を想定した制作に取り組んでいきたいと思います。
審査員評
- まだ多くの人がトライしていないフォーマットにトライできてよかった。
- 企画意図通りにできていて面白いと思う。
- ステレオでは表現できないことをやろうという意気込みを感じた。
- パンクらしい歌詞とサウンドである。
- ロックのラウド感、音圧感、塊感と、サラウンドは相反するので、難しいかも。
- パンクロックへの敬意が感じられた。
- パンクの勢いを無くさないようにしながら、Choやギターの定位に工夫できたと思う。
- 良く録れているが、ロック感がもっと出せられれば。
- もう少し立体音響の利点を活かす定位や音楽作りをすれば、尚よかった。
- 定点で聴くときちんとした音楽性が出ている。しかし身体を揺らす音楽だから、聴者を束縛してしまう恐れがある。
- イマーシブ感はよく出ている。Gtを両サイドの身から出すことをはじめとして、定位のアイディアは成功している。惜しむらくは、スネアの音にインパクトがなく、サウンド全体の迫力を削いでいる。またボーカルの抜け、存在感がもう一つで、攻撃的な歌唱とのマッチングがもう一つ足りない印象。しかし、こうしたロックナンバーを7.1.4chで制作しようという心意気が評価できる。
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