第6回「音の匠」は世界最初の電子楽器テルミンの紹介、演奏、普及活動に努められた竹内 正美氏を顕彰いたしました。
竹内 正美(たけうち まさみ)様
1967年埼玉県生まれ。 大阪芸術大学音楽学科音楽工学専攻卒業後、音楽ホールでの録音技師を経てテルミンの演奏を修得すべく1993年に渡露。 モスクワにて、発明者テルミン(1896~1993)の遠縁にあたり、テルミン本人から直接指導を受けたリディア・カヴィナ女史に師事。 帰国後は各地で演奏会や単行本の出版(テルミン エーテル音楽と20世紀を生きた男 2000年8月岳陽舎刊)および日本人として 初のテルミンによるCDの出版(「タイムスリップス アウェイ」NEXTレコード NKCD-0010)などを通じて、 テルミンが奏でる音楽の魅力を伝えるべく、積極的な活動を展開されている。
テルミンについて
ロシア人のレフ・テルミンによって1920年に発明された、世界初の電子楽器といわれているもの。人体を可変のコンデンサーに見立て、アンテナを近づけたり遠ざけたりすることで発振周波数を変え、一方の固定周波数発振器(100数10キロヘルツ)との差(ビート)を取り出し、音域約4オクターブ半の可聴周波数を発生させる。垂直に立てられたピッチアンテナに手を近づけたり遠ざけたりすることで音階を、もうひとつのボリュームアンテナに同様の所作を加えて音量をコントロールする、ごくシンプルな構造になっており、 演奏者は楽器に触れることはない。仕組みが単純なだけに、 奏者の技術と感性次第でその表現力が大きく変わる楽器といえる。 なおテルミンはアメリカにおいて、シンセサイザーの父ともいうべきモーグが起こした ビッグブライヤー社によって製造販売されており、廉価版の「イーサーウェーヴテルミン」は2000年6月現在日本でも300台以上が販売されているとのことである。