Vol.57 超大画面の勧め
我が家の15畳間のリスニングルームのシステムは昨年の暮れに110型のスクリーンから超大型の150型に変わって新時代に突入した。これほど大きな変化があるとは予想しなかったほどの大変革が起こった感じである。
この部屋にスクリーンが導入されたのは今から18年前会社を定年退職してすぐのことである。三管式のプロジェクターを自分で天井から吊り下げ、織物のサウンドスクリーンの試作品の生地を用いて手作りしたスクリーンをスピーカーの前に吊るして大型スピーカーと大画面の両方を楽しんでいた。
我が家のサウンドスクリーンを見たイーストンの東田社長はサウンドスクリーンを製造することを思い立ちTHX規格の認証を受けたサウンドスクリーンの開発に成功しそれを我が家の手作りのものと交換してくれた。
数年前にプロジェクターをフルハイビジョン規格の液晶に変えたときもスクリーンサイズはは110型そのままであった。その間我が家のスピーカーは、38cm4ウエイシステムが片チャンネル1本から2本に増え、暫くしてさらに4本にまで増えた。4本になってから各スピーカーからリスニングポイントまでの距離が等しくなるように配置を調整したり、各スピーカーの特性がリスニングポイントで同じになるようにアッテネーターの調整を行っていくと繊細な音も迫力のある音も出せるようになり非常に良い音がするようになった。
そのような、ある日イーストンの東田社長が尋ねて来たので、最新の音を聴いてもらった。するとこの音には110型のスクリーンは釣り合いがとれていない、150型に変更すべきであると言われ、1ヶ月程して部屋の幅一杯の150型のスクリーンと取り替えてくれた。ただしプロジェクターを部屋の後一杯に後退させても150のスクリーンサイズまでは大きくならず約140型になっているが画面の迫力は非常なものである。
スクリーンからリスニングポイントまでの距離は約3mしか取れないので当初はプロジェクターを4Kにしないと画質が悪いのではないかと考えていたが実際に色々なソフトを写してみると殆ど問題が無いことが解った。
有名な小沢征爾の「悲愴」の画面が驚くほど綺麗に写るし、ソフトの画質の良否が非常に良く解るのは予想外であった。スクリーンが大きくなってから手元にある音楽ソフトを再生して見ていると、DVDソフトでも十分楽しめるし、ブルーレイソフトならさらに楽しめることが分かってきた。
特に演奏者の全身像が写る場面では、ステージの直ぐ近くの客席で見ている感じがして非常に臨場感がある。画面一杯に顔が大写しになるシーンでもあまり不自然な感じがしないのは予想外であった。ただし演奏中にカメラを大きく移動させたり頻繁に画面転換をするのは見ていて疲れる感じがするようだ。
音楽ソフトの場合は、カメラの台数は3-4台あれば良いのではなかろうか。10名以下のグループの場合なら全員が写っている場面で固定しても各演奏者のそれぞれの動きが良く見えるので、非常に面白いのにアップにしてしまうと個々人の動きが分からなくなるのでもどかしい思いがするのは筆者だけではないと思う。
ソフト屋さんには是非研究して頂きたいと思っている。
今から約25年前、世界で最初のホームTHXシステム開発のために訪れたルーカス社の本社では、来訪者用の豪華な特別試写室も、映画の音の原音を創るダビングステージもせりふ収録用の小さな部屋も、効果音収録用の中型の部屋も、音楽録音用の大きな部屋も、全ての部屋の短辺の壁面の幅一杯にスクリーンが設置されているのを見て、映画とは壁一面のスクリーンに写すのが標準なのだと感心して見て来たのだが、やっと我が家のスクリーンも部屋の幅一杯になった。ただしルーカス社ではスクリーンの比率がシネマスコープサイズのため細長くなっていたが、我が家では9:16の比率のため壁一面がスクリーンの感じがする。
このためTV放送の旅番組などを見ると、正にその場にいる感じがして臨場感が満点であることが分かった。これまではホームシアターで鑑賞するソフトは音楽ソフトと映画だけと思っていたが、衛星放送の船や鉄道紀行などの旅番組や大自然の紹介ものなど大画面で楽しめる番組が毎日送られているのに気が付いたが、これらの放送番組がホームシアターの普及に大いに役立つのでないかと考えているところだ。
また高齢になったベテラン歌手の現在のハイビジョン映像の方が昔の若いときのNTSC映像よりも綺麗で美しく見えることが分かったのも新発見で、ベテラン歌手の放映が楽しみである。ハイビジョン映像が残っていない名歌手は非常に残念だ。
定年で三管式を導入したときに比べると非常に安い費用でハイビジョンの超大画面のシステムを導入できるようになったので、この楽しみを少しでも多くの方に広げようと、会う人毎に我が家への来訪を勧めている今日この頃である。